あなたに好きと言えるまで
私がそれを知ったのは、つい二日前のことだった、
天文部の部長からの連絡事項を、私以外の5人の同級生の部員に伝えるよう頼まれていた、他のクラスの4人の男の子(天文部なのに、何故か新入生の女子は私1人しかいない)に先に話をして、最後に残ったのが同じクラスの君嶋くん。
お昼休みに彼の席に歩み寄って部長の言伝を伝えた、
『君嶋くん、今日は天文部のミーティングがあるから放課後に化学室に集合だって』
彼は私の顔をチラッと見ただけで視線を戻すと、弁当箱を鞄に仕舞いながら独り言のように呟いた、
『今日かー、僕は陸上部の練習に出たいんだけどな、駄目かな、、』
おいおい、掛け持ちしてるなんて聞いてないですけど、、
『君嶋くん、陸上もやってたの?』
『まだ入部したばかりだよ、だから休みたくないんだ』
気持ちはわかる、入部したばかりじゃ他の部員、特に先輩からは良く見られないだろうから。
『白河さん、悪いけどそんな理由で行けないから、部長に伝えておいてくれないかな』
『それは別に構わないけど、お昼の太陽観測の当番を決めるみたいだよ、二人一組だから君嶋くんは誰とペアになってもいいの?』
『まだ皆んなの事をあまり知らないからなぁ』
そうでしょ、しかもだよ、
『一度ペアを組んだら余程のことがない限り三年生になるまでずっとなんだから』
週一回たかが十五分程度の当番とはいえ、気が合わない人との時間は苦痛でしかない、それが役目を終える三年生の夏休みまで続くとなれば尚更だ。
『そっか、どうしようかな、、別に白河さんとでもいいけど』
私に顔を向けて、彼は何の躊躇いもなく笑顔で言った。
別に? でもって何ですか、、私がハズレみたいじゃない、
まぁ、いいか、、ちょっぴり嬉しいし。
ペアになれば彼と話す機会が増える、教室ではなかなか話す機会も話題もない彼に、私が独占できる時間が持てる事が何となく嬉しかった。