あなたに好きと言えるまで

足音が止まり彼の気配を間近に感じる、目を開けて顔を上げた。私は今どんな顔をしているのだろう、泣きそうな情けない表情をしていないだろうか、逃げ出したい衝動を必死に堪えて彼の目を真っ直ぐに見た。

「白河さんだったんだ」
彼は予想外に穏やかな表情をしている、私が好きな優しい眼差しだった。

「意外だった?」

「うん、僕はもう君に嫌われたと思っていたから」

「ごめんね、君嶋くんに酷いこと言ったよね」

でも、嫌いになんてならない、四六時中貴方の事しか考えてないんだから、

一度深呼吸をして、私は二年間ずっと言えずに胸の中で温めておいた言葉を口にした。

「一年生の時から君嶋くんが好きでした、これ貰ってください」

後ろ手に隠していたチョコと手紙を彼の前に差し出した。
寒さに手が悴んで恥ずかしいくらいに震えている、
やっと言えた"好きです"の言葉、結果はどうであれ願いが叶ったことに私は満足だった。
「手紙読んでね、また返事下さい」

私の手を包み込むように受け取る彼の綺麗な手は相変わらず温かくて、、、、そして恋しい。


返事はお昼の当番の日に、とういうメッセージを手紙の最後に書いて置いた。
電話では嫌だ、たとえ断りの言葉であっても彼の口から直接聞きたい。
その時は、ありがとうって言いたい、
貴方を好きでいさせてくれて、ありがとうって

ところが、その当番の日まで十日あまりもあった、長すぎる待ち時間に私は耐える事ができるのだろうか、まるで受験の結果発表待ちのようにハラハラドキドキが止まらない、、
きっと駄目だろう、、ひょっとしたら、、
期待と不安が交互に訪れて何も手につかない日々を過ごす羽目になった。
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