あなたに好きと言えるまで
「白河さん、返事をさせてもらえるかな」
ドームの壁に持たれて、手持ち無沙汰に壁を撫でながら、彼は私と視線を合わせないまま望遠鏡の先の空を見上げていた、その表情からは答えは読み取れない。
私は望遠鏡の横の椅子に座り、神の宣下を待つ信者のように項垂れてしまった、
「僕には女心が分からない、いつも君に偉そうな事を言っているけど、知らぬ間に君を傷つけていたみたいだね、君がどんなに辛い思いをしてきたか手紙を読んで初めて知ったんだ、許してくれないか、、僕には女の子と付き合う資格などないのかもしれない」
そんな事ないよ、貴方ほど思い遣りがあって優しい人に私は巡り合った事がないもん、
「君の一途な想いは確かに受け取ったけど、いまだに僕は彼女の事が忘れられないんだ、こんな気持ちのまま君と付き合っても君を悲しませるだけだ」
やっぱり彼の中には、まだ河崎さんの影が大きなウエイトを占めていた、
「僕は、本当は僕の事を一途に思い続けてくれる君みたいな子が好きなんだ、
だけど彼女の心はもう僕から離れてしまったはずなのに何故か忘れられない、僕がこんなに女の子を好きになったのも初めてだからかも知れない」
ダメだ、、、きっと断られる、、まだ告白するには早かった、その後の言葉が怖くて、私は両手で顔を隠し、涙に堪える用意をしていた。
私のその姿を彼の視線が捉えていたのだろうか、
そこで一旦話を止めた彼は私の前まで歩み寄って正面にしゃがみ込むと、顔を隠していた私の手を無理矢理剥がして、上目遣いに私の顔をまじまじと見つめた。
突然の彼の大胆な行動にビックリして、もう隠せない涙が頬を伝ってしまう、
両手は彼に捕まったまま、逃げられない。
「や、やだ、、酷いよ、」
こんな顔見られたくない、、
「泣かないで、、約束したよね」
無理です! だから隠していたのに、、、
お願いだからもう優しくしないで、駄目ならダメって勿体ぶらないで言って、