あなたに好きと言えるまで

彼は私の手を離して、今度は両腕を強く掴み直した。

「白河さん、君が忘れさせてくれないか?」

・・・・ど、どういう意味、

「君の僕に対する強い想いで、僕の未練を上書きして欲しい」

頭が追いつかない、言葉の意味を噛み締めて飲み込むのに時間がかかった、、
やっと、その意味を理解した時、

「白河さん、僕の彼女になってくれないか」


えっ、えーー、嘘でしょ、ほんとに?

予期せぬ彼の言葉に、今度は嬉しくて涙が止まらなくなった。

私の腕をそっと離し、頬を伝う涙を細い指で拭ってくれながら、彼は私の大好きな優しい眼差しを向けて、また魔法を掛けようとしていた、

「お願いだから、もう泣かないで、」

嬉し涙なんだからいいじゃない、っていうか
貴方が言ってた、それは嬉し涙も同じだよね、

「女の子を泣かしたんだから男が悪いんでしょ!」
いじけるように彼の胸にしがみついた、

彼も包み込むように私を抱きしめてくれた、ずっと求め続けていた恋しい温もりが全身を駆け巡り、さっき迄不安に押し潰されそうだった私の心に幸せ感を満たしていく。彼の鼓動が静かにゆっくりと昂った気を鎮めてくれた。

「そうだね、僕が悪い」

抱きしめ方ひとつにしても彼は優しかった、宝物が壊れないように最小限の力で護るように回された腕や労わるように髪を撫でる指先が、力強く抱きしめられるよりも却って私の未熟なハートを刺激して、

苦しいほどに胸が痛い、、
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