あなたに好きと言えるまで
「一年生の時、陸上部の練習を君は遠くから見ていたでしょ」
「うそっ、君島くんは気づいてたの?」
「僕は知らなかった、目が悪いから遠くは見えないし。中島くんが教えてくれたんだ、同じクラスの白河さんが花壇に腰掛けて自分を見てると思っていたら君嶋、お前だったって」
そうか、私は君嶋くんばかり見ていたから他の人の視線なんて気にしていなかった、中島くんに聞いたって事は彼はその時から私に恋心があることを知っていたんだろうか。
「じゃあ、前から私の気持ちを知っていたの?」
「その時はそうは思わなかったよ、単に僕が陸上部に入った事を君が知って見てるだけかなって」
違うよ、その時には私はきっともう貴方が好きだった。
「冗談混じりに、僕に告白をねだったこともあったでしょ」
「うん、私が冗談ぽく言ったのに、君嶋くんは真顔で"考えてみるよ"って言ったよ」
「あの時、、僕は本気だったんだ」
えっ、本気だった?
ノリが悪いだけだと思っていた、、
「君はそうは受け取らなかったみたいだけど、あの時もう少し君の気持ちを確かめる事ができていたなら、君をあれほど悲しませることもなかった」
「私がわけも分からず泣いた事?」
「そう、僕が女の子の涙に弱いのを知ってるでしょ、あの時君を抱きしめたい衝動に駆られて、それを抑えるのに必死だったんだ」
彼は頭を掻いて恥ずかしそうに打ち明けた、
「・・・・ほんとに?」
そうだ、私はどうしていいか分からず涙に暮れていた。私は貴方に抱きしめて欲しかったのに、
「河崎さんに告白された時も本当は迷ったんだ、でも君の気持ちに確信が持てなかった、だから僕は彼女を選んでしまった。君がそんなに一途に思ってくれているとも知らずに、もし僕がそれを知っていたなら間違いなく君を選んだ。
今考えると僕たちはすれ違っていたんだね」