激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
デート
数日後の日曜日。天気は快晴だ。
「藤乃さん、わざわざお迎えに来てくださってありがとうございます」
「いえ、お屋敷の中で待っていてくださってもよかったのに……寒くはなかったですか?」
「さっきまで中にいたんですが、藤乃さんが見えたので」
……というのは嘘で。
別邸から出るのは、なんか世間体が悪いとかと旦那様がおっしゃったので外で待ってたとかは言えない。
「ですが、手が冷たいです。それにその洋服は寒くないですか? 私のジャケットを着てください」
「えっ、でも。藤乃さんが寒くなっちゃうんじゃないですか?」
「私は、大丈夫です。さぁ、乗ってください」
藤乃さんは、後部座席のドアを開けると私に座るように促した。私が座ると、藤乃さんは反対側のドアから乗り込む。
「美宙ちゃん、今日は運転を頼んだんだ。運転手兼私の専属執事、宮下だよ」