激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



 私はホットドックを堪能してハーブティーを飲んだ。それからお片付けをして、園内を回る。見たことのある植物に見たことも聞いたこともない植物を見て時々藤乃さんに説明を受けながら歩いた。
 運動不足ですぐ疲れちゃいそうだと思ったけど、とても楽しくて疲れるってことはなかった。その後も、たくさんのお花が植えてある花園を見て……全て見終わったのは十三時過ぎだった。


「藤乃さん、私、藤乃さんがしてる草木染めが見てみたいです」

「え、本当に?」

「はい。なんだかとても楽しそうで……」

「そっか。うん、じゃあ、次に会う時に……いや、一緒に住まない?」


 ……え? 藤乃さん、ぶっ飛びすぎじゃない?
 私はただ、草木染めが見たいと言っただけなんですが。


「急、すぎませんか?」

「そんなことないだろう? 婚約期間が終わったら、結婚するんだし。婚前同居というものだよ。それに、アトリエはね自宅の一階にあるんだよね。だから一緒に住んだほうがいいんだよ」

「はぁ……ですけど、お義父さんがなんて言うか」

「うん。それは大丈夫。美宙ちゃんが良ければいいって許可は取れたから。美宙ちゃんのイエスかノーでこれからが変わるよ」


 まぁ、旦那様にとってはいいよね。私のことは早く結婚してほしいと思っているし、そのための私だし……藤乃さんも悪い人じゃなさそうだし、なら同居してもいいんじゃないかと思えてきて私は彼の言葉に頷いた。




 







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