激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
「ははっ、かわいいなぁ。じゃあ一緒にやろう」
彼は私の座る椅子の隣に座ると、後ろから覆い被さるように私の手に手を重ねてさっきまで穂貴さんがやっていた作業をする。
「うん、それでいい。その感覚を忘れちゃダメだよ」
「はい。は、始めます……」
その後、トントンと糸を手元に引き寄せるまで出来て「こうですか?」と彼に聞けば「うん、完璧。じゃあこのままやっていこうか」と微笑んで言ってくれた。そのおかげでなんとか織ることができた。