激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
お茶会
「……美宙ちゃん、じゃあ行こうか」
「はい!」
この家に住み始めて慣れてきた頃、私は穂貴さんのお母様にお誘いを受け今日はお茶会がある。その間は穂貴さんは会社に久しぶりに顔を出すらしい。
穂貴さんは、一応“副社長”という肩書きがある。本人は肩書きはいらないと言ったらしいがそれを条件にと言われたため仕方なく副社長をしているらしい。それに、会社主催で個展をさせてもらってるからほっとくこともできないと苦笑いしていた。
家から藤乃出版までは車で三十分掛かる。私は、会社でお母様と待ち合わせだ。お母様は社長室にいるらしく、私もそこまで行く。彼曰く、俺の見張り役にでもしたんだろうと言っていたけど。
「美宙ちゃん、ここだよ。ここは、社長室と会長室、副社長室しかない。エレベーターから降りてすぐが社長室だ」
「そうなんですね……すごい、最上階なんですね」
「まぁね。……はい、到着」
最上階に到着しエレベーターが開くと穂貴さんと降りる。そしてそのまま真正面にある社長室の扉の前に行くとノックをした。すると中からの返事を聞くと穂貴さんに手を握られて中に入る。