激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
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穂貴さんのお母様ときたのは、会社の近くにある隠れ家的な喫茶店だった。とても落ち着いている場所で、上品なお母様と雰囲気が似ていて私が浮いている気がする。
「美宙ちゃんは何が好きかしら? ここはね、ケーキ美味しいのだけど期間限定のパフェも美味しいの」
「パフェですか?」
「えぇ! それはもう、何度も食べたくなるくらいね。一緒に食べない?」
「食べたいですっ! でも、私、お金持ってきてなかったです……」
私は所持金はほとんどないけれど、でも少しならある……どうしよう…
「お金のことは気にしなくてもいいわよ。穂貴くんからいただいてるからね、それに家族になるんだから遠慮するのはなしよ」
「あ、ありがとうございます」
「ふふ、じゃあ頼むわね」
注文をすると十分ほどでパフェが到着する。季節が春だからか苺を使ったパフェで、パフェグラスにはイチゴのジュレやクレープ、生いちごにピスタチオのアイスとイチゴのアイスに生いちごと生クリームチョコレートが飾られていた。そして、パフェグラスの横にある小さなグラスにはイチゴのホットチョコレートソースがあってこれは食べ進めながらかけてマリアージュを楽しむものらしい。
「いただきます」
お互い食べる前の挨拶をすると、パフェ専用のスプーンをパフェに入れていって一口口に運んだ。
「……美味しいっ」
それはとても甘酸っぱくて、途中でかけたホットチョコのあったかいのが相まって悶絶するほどに美味しかった。