激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
食べ始めて十五分ほどでパフェはお腹の中に入ってしまい、その後紅茶を注文して二人話をする。
「今回、お茶に誘ったのは一緒にパフェを食べたかったのもあるけど話したいことがあったからなの」
「はい」
「えっと、確認なのだけど藤乃家が旧華族だってことはご存知なのよね? きっと縁談を持って行った時に聞いてるかなって思うのだけど」
「はい、それは。ですけど詳しくは……」
確か旦那様が『旧華族が〜』と言っていた。
「そうなのね。藤乃家は夫が早くに当主の座を譲ったから今の当主は穂貴くん。旧華族の嫁である私たちはね、常に後継者を産むことを言われるわ。旧華族の血を、後世に残すために必要なことね……だから、あなたには、結婚前に妊娠してもらいたいの。そうすれば、世間の目は、厳しくならない」
「にん、しん……」
「えぇ。ひどいことをいう母親でごめんなさい。私はどちらでもいいと思ってるけど、子供ができちゃえばなんか文句を言ってくる連中は減るはずだから」
「そうですよね……穂貴さんと、話し合ってみます」
子供のことは考えてはなかったけど、私が藤乃に嫁ぐことになったのは旦那様が旧華族の血を欲しがったからだ。きっと旦那様は今度は子供を求めて来るだろうと想像できる。