激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜



 藍汁をためておく藍甕(あいがめ)に蒅を入れて、微生物による自然発酵や化学薬品を用いて水溶性の染料へと還元させる。この一連の工程を「藍を建てる」というらしい。
 難しくて、何が何だかわからなかった私だけど少しだけ本とかで読んで覚えた感じだ。


「藍の華が立ってきた……これで染料はできた、と」


 これで糸を入れるんではなく、その前に水につける。水をつけることで染料が染み込みやすくなる。
 染料に入れる前に穂貴さんにこれでいいか確認をすると、OKをいただけたので藍の染料の中にゆっくりと入れた。それを二分ほどでつけると色がついてくるので外に出してしっかり水気を絞る。空気にさらして二分ほどするとうっすらと藍色になっていくのがわかる。
 今回は濃い藍色にしたいので、これを五回ほど続けて水を使って染料を洗い流す。水が透明になるまで洗い、洗った後は水気を絞り、五分酢酸につけて色留めをする。この工程を怠ると色落ちが早くなってしまうらしい。

 その後は乾燥させて、やっと完成する。




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