激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜
縁談


 如月家の敷地から出て一時間ほど車を走らせると、ビルがいっぱい建っているのが見えた。


「美宙、もう少しで着くから準備しなさい」

「はい。旦那様」

「降りたら私のことは“お父様”と呼ぶように。君は私の娘なのだから」

「そうですね。お、父様……」


 私は心の中で『お父様、お父様』と呟いて練習する。粗相がないようにしないと……愛がなかったとはいえ、たくさん不自由のない生活をさせて頂いたんだし役に立たないと。

 意気込んでいるうちに顔合わせをする会場のホテルに到着して、運転手さんにエスコートされゆっくりと降りる。すると、旦那様……いやお父様に「今日はエスコートをしよう」と言われてエスコートされながら私はホテルの中へと入った。
 ホテルの中はとても別世界のような空間だった。床もピカピカで天井にはシャンデリアがあってキラキラしている。全てが煌びやかでラグジュアリーな空間だった。



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