激甘すぎる婚前同居。 〜訳アリ令嬢は染織家の盲愛に気づかない〜


 それからケーキが食べ終わりお茶を飲んでまた話が終わると、お見合いのあるあるなセリフ「では、後は若い二人で」というお言葉をいただいて今は穂貴さんと二人きりだ。


「美宙さん。歩くのは、嫌いじゃないですか?」

「えっ、嫌いではないと思います……?」

「……思います? なぜ過去形なんですか?」

「ず、ずっと引きこもっておりましたので体力がないかもしれないなと思いました。ご迷惑をおかけしてしまうのではないかと思って」


 実のところ私は引きこもっていた……いや、閉じ込められていたと言ったほうがいいのかもしれない。私は中学校までは、引き取られる前だったので普通に通っていた。だが、高校二年の時に如月家に引き取られたため旦那様に退学させられてしまい通信制の学校に編入して卒業した。大学も通信制の大学に進学していてこもりっきりだ。まぁ、礼儀作法や言葉遣いの家庭教師らしい方がきて勉強していたので暇になることはなかった。
 それに使用人からの嫌がらせ回避に忙しかったし……うん。


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