白杖くんは、恋を知った
「おはよう、お姉ちゃん」

「恋雪、おはよ〜」

リビングに入って挨拶をする。お姉ちゃんは出来上がった朝ご飯を、すでにテーブルに並べていた。

「ハムエッグ、おいしそうだね!」

「でしょ?明日はあんたの番だからね」

今、両親は二人とも海外出張に行っていていない。だから食事は毎日交代で作ってる。えっ?料理なんかして大丈夫かって?大丈夫!うちのまな板は黒っぽい色のを使ってる。だから、食材がボヤッとだけど見えるんだ。全然怖くない。むしろ料理やお菓子を作るの、大好き!

「いただきます!」

二人で手を合わせた後、ハムエッグを一口食べる。うん、すごくおいしい!自然と笑顔が浮かんでしまう!

「そういえば、あんた今日学校は休みなんだっけ?」

「うん。開校記念日で休みだよ」

僕は十六歳。高校生だ。学校は普通の学校ではなく、盲学校というところに通っている。目の不自由な人が通う学校だ。僕と同じ十代の人もいれば、五十代や六十代で通っている人もいる。色んな世代の人と出会える場所だよ。
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