幻が見える彼女
差し出された手をとって握手すれば、橘くんと目が合ってまた微笑んだ。
お互いに手をパッと離せば、肩と足元にいつもの妖達がくっついて来て、その何かに怯えているような表情に緊張が走る。
「おい飛和!大変だ!」
「変な妖が外をうろついていたのだ」
「外に行く際は注意するのだぞ!」
「変なってどんな奴だ?」
「おお、冬弥!お前も見えるなら気をつけるのだ。
冬弥と同じくらいの背で斧を引きずっていた」
『斧…物騒ね』
橘くんと目が合い、数秒経過して授業開始の鐘がなった。
とりあえず教室に急いで入り、それぞれの席につけば、少し先生に見られたが怒ってはいないようで安心する。
斧の妖、校舎内に入って来ないといいな…
そう思いながら、肩に乗っていた友人を窓枠へ移し、手を振った。
「我らで奴のことを少し調べて参る!」
「気をつけるんだぞ!」
『ありがとう』
小声で言ったお礼に頷いた3人…3匹?は窓枠から外へ飛び降り見えなくなる。
教科書をパラパラめくりながら黒板の方を向くと、
カサッと紙の音がして、橘くんが私の机にメモを置いたことに気付く。
??
[なんか廊下にやばいのいるからこっち見るな]
やばいのって…
さっき言ってた斧の妖が入ってきてる…?!