38年前に別れた君に伝えたいこと
プロローグ
忘れられぬ恋がある
38年も昔の、青春時代の甘酸っぱい記憶
誰もが持っているであろうその記憶は、歳を重ねる程に懐かしく輝きを増していく、他人に覗き見られることも、ましてや盗られる事もない自分だけの宝物だけれど、僕の他にもう一人同じ記憶を有している人が居る。
言うまでもなく彼女だ、、
彼女と僕だけの遠い昔の記憶、
人生の節目で時折痛みを伴いながら思い出され、思い出される度に少しずつ記憶のカケラを無くしては小さくなっていく。
それでも、その希少で多感な時期の思い出は、彼女の面影と共に決して絶ゆる事なく僕の心の片隅に長い間眠り続けていた。
あの日まで、、
それを目醒めさせた些細な出来事が、平穏な僕の残りの人生を一変させてしまった、幸福感に満たされていた筈の日々の暮らしに、喉の渇きを覚えるほどに、彼女の面影を求めて止まない。
記憶が甦れば、恋しい想いも甦る、、
青春時代の恋しい人は、今何処で何をしているのだろうか。
38年もの長い年月を経ても忘れられないのには訳があった、
喧嘩して別れたわけではないからだ、
恋愛感情が冷めたわけでも、
ましてや、
他の人を好きになったわけでもない筈なのに
互いに大好きだった二人が、
何故別れなければならなかったのか、
その理由を、、
思い出せない
もともと知らなかっただけか、
それとも長い年月の間に忘れてしまったのか、
無くしてしまった記憶の欠片を
探してみたくなったのだ
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