38年前に別れた君に伝えたいこと
5.恋か愛か
同じ学校に通っていても、クラスも違うためか逢えない日も珍しくなかった。
その日は、午後から進路相談会があった関係で、午後は休校となったため、予め交換日記で会う約束を交わしていた。
学校で、纏まった時間を2人で過ごすのは久しぶりだった。
校舎横の花壇に並んで腰掛けた、
「久しぶりぶりだね」、彼女の横顔が少しばかりやつれて見えた、
美幸ちゃん少し痩せたかな、、
「うん、電話だけじゃ物足りないよ、ゆっくり会いたかったんだ、、ねぇ圭くん、恋と愛の違いは何だと思う?」
急に何とは思ったが、彼女なりに思う事があったのだろう、
「うーん、美幸ちゃんは本当に難しいこと聞くよね」
まてよ、これはちょっと前に聞いた事があるぞぉ、
確か、「恋は下心、愛は真心じゃないかな」僕は自信満々に答えた。
すると彼女は、キョトンした顔した後、大きな声で笑い出した。
「あはははは、それは、漢字のことでしょ、心って字が下にあるのか、真ん中にあるのかの違いだよね」
美幸ちゃん、笑い過ぎて涙目になってるよ。
自信満々に答えたつもりが真剣に笑われた。
「それに、真心があるのは恋じゃないかな、純粋な気持ちで相手の事が好きだ、ずっと側にいて同じ景色を見て同じ道を歩いて行きたい。
そこには肉体的な感情や欲は存在して欲しくない。
うーん、中・高生の恋愛がそれに近いかな。
逆に下心があるのは愛の方が強いかな、
愛してるって言えば言うほど、その言葉の価値は下がる気がする。
容易く愛してるって言う人は、この人を抱きたい、自分のものにしたい男の欲望が見えて、私は嫌かな。
『愛してる』の言葉は、たった一度のチャンスを狙ってるんだよ、
私は、ここぞという最高のタイミングで言われたいんだ。ねっ、圭くん!」
はい?
僕にはそのタイミングが分かりませんけど、、
こういう話をする時の彼女は凄く大人びて見える、