38年前に別れた君に伝えたいこと
駅の改札口で、別れ際に彼女が重い口を開いた、
「圭くん大好きだよ、手紙読んでね、さよなら」
目に涙を溜めた作り笑顔で、
それだけ言うと振り返って歩き出した。
大好きなのに、なんで別れなきゃいけないの、、
彼女の後ろ姿に向かって、
「美幸ちゃん!
手紙を読んだら、もう一回電話するから、もう一回だけ電話に出て」
まさか、こんな事になるなんて想像もできなかった、
昨日の電話を悔やんだ、もう少し彼女の気持ちを汲んでやる事が出来なかっただろうか。
クリスマスの夜のように、彼女の元に飛んで行って抱きしめてあげられなかったか。
たった一本の電話が彼女に別れを決意させてしまった。
家に帰って、恐る恐る彼女の手紙を開けた。
『大好きな圭くんへ
今まで、こんな私と付き合ってくれてありがとう。
私の片想いから始まった交際だったけど、圭くんの優しさに守られて、凄く幸せだった。私が挫けそうな時は、いつも手を差し伸べてくれたね、不安な時は、傍に居てそっと抱きしめてくれた。本当は、いつまでも圭くんと一緒にいたいけど、今のままだと不安に押し潰されそうで怖いの。何もかも捨ててあなたの所に行けたなら、私を抱きしめて離さないでくれるかな?それとも昨日の電話みたいに怒られるかな。もうあなたの足手纏いにはなりたくない。
我儘になっている自分がわかるから、
だから、さよなら、、します。
・・・ごめん・・圭・・・愛し・・・・』
最後は涙に滲んで読めなかった。