38年前に別れた君に伝えたいこと

もう、これ以上彼女のことは何も思い出せない。
筆を置く事にしよう。

執筆中にBGMとして流していたスピッツの『楓』が余韻を残して切なさが募る。浜田省吾さんの『LoveLetter』しかり、岡村孝子さんの『Believe』しかり、僕が感情移入してしまう曲は、全てが彼女に対するものだった。

彼女がそばに居て、思い出を噛み締めるように一緒に聞いたならば、彼女もきっと涙なしではいられないだろう。



この物語を、小説にして、ネット上にあげれば、やがて彼女の目に触れることがあるかもしれない。

登場人物と話の内容から、彼女は自分の事だと気づいてくれるだろうか。

彼女を探す手段が無くなってしまった以上、他に方法は見つからなかった。

後は偶然と言う奇跡を神に祈るだけだった。
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