38年前に別れた君に伝えたいこと

「麻由ちゃんへのラブレターだよ」

勘のいい彼女には、それが何なのかすぐにわかったみたいだ。

「こんなの要らない! 圭ちゃんの口から直接話してくれればいいじゃない!」

泣きじゃくる妻を宥めることもできない、

「ごめん、もう話す元気がないんだ」


息切れが激しい、苦しくて、辛い。


「お願い、、

 麻由ちゃん、愛してるよって、

 麻由ちゃんを、置いて、、
 先に逝かないからって、

 ねぇ言って、、
 圭ちゃん

 お願い・・・」



「こめんね、後で、、いいから、読、ん、でね」

それだけ言うのが精一杯だった。


最後の最後にまた妻を泣かせてしまった、何もしてやれない自分が憎い。
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