38年前に別れた君に伝えたいこと
本を開いてページをめくると、今度は登場人物の名前に目が止まった。
美幸? やだ、私と同じ名前だ、今の若い子には少ないけど私の年代は結構同じ名前の人が沢山いたんだよね。
更にページをめくると圭悟という名前を見つけた。
いやいや圭悟は珍しいでしょ、
……圭くん?
えっ、なに? どういうこと?
体温が一度上がった気がした。
本を裏返して作者を確認すると、君嶋圭悟とある。
嘘だ、本当に圭くん?
頭の中が混乱している。
「お母さん、いい本あったの?」
急に話し掛ける娘の声に、更にびっくりして、その場に座り込んでしまった。
「お母さん、どうかしたの? 顔色悪いよ」
声に出して説明出来なかった、
娘に作者名を指差しながら、その本を渡した。
「なに、知ってる人?
美幸ってお母さんと同じ名前じゃん??」