38年前に別れた君に伝えたいこと
「私も家に帰ってからその本についてネットで調べたの。
その小説は、2年前にもともとネット上の携帯小説として発表されたもので、当時から話題になっていたんだけど、作者の君嶋圭悟さんは、その小説を発表してから僅か3ヶ月後に、病気で亡くなったって書いてあったの」
2年前?
そうか、、だから2年のブランクがあったんだ、
今からだと、、ちょうど40年前、私が大学一年生の時だ。
記憶とピッタリ一致した。
「亡くなったんなら、しょうがないじゃないか、
母さんも、もうその本の事は忘れろ」
「もう、お父さんは本当にデリカシーがないね」
「ごめん、気分悪いから横になるね、、美咲、あとお願いね」
「いいけど、お母さん大丈夫なの?」
駄目だ、、暫く立ち直れないかもしれない。
ついさっき迄は、圭くんが私を探していた事を知って凄く嬉しかったのに、
再会できるかもしれないと喜んでいたのに、、
寝室に戻って、ベッドの上にうつ伏せに寝転んだ、
何故,悲しい時人はうつ伏せになるんだろう、、
圭くん、、
彼の事が頭から離れなくなってしまった。
40年も記憶の片隅にじっとしていてくれたのに、
貴方の本を読んで思い出してしまったじゃない、
記憶の断片を思い出す度に、涙が溢れる。
圭くん、私を探してくれてたの?
せっかくあなたの本を見つけたのに、もう逢えないなんて、
生きてさえいてくれたら、また逢えたかもしれない、、のに。