38年前に別れた君に伝えたいこと
3.また貴方に恋してる
圭くん、本当だね、、
二度と会えないと思うと、余計に恋しさが込み上げてくる。
懐かしい思い出を振り返るうちに、いつの間にか眠ってしまっていた、
気が付くと時計は夜中の0時を回っていた。
いっぱい泣いたせいか喉が渇いて、水を飲みにキッチンに行こうとして、リビングの灯りが点いていることに気づいた。
「美咲? まだ起きてるの?」
「あっ、お母さん、もう大丈夫なの?
、、私も本読んだよ」
ソファにもたれる美咲の傍らには、あの本が置かれていた。
「えっ、いつの間に読んだの?」
「お母さんが泣き疲れて寝てる間、私が本を取り
に行った事も知らないでしょ?」
まったく気づかなかった。
「お母さん達、本当にあんな素敵な恋愛してたの?
純愛って感じだね」
「小説の話? 半分くらいは事実かな」
「いいなぁ、私もあんな恋がしたかったな、
だって、今の私が読んでも胸がキュンてなるよ」
「何言ってるの、
美咲はまだ若いんだから、これからじゃない」
「同年代の男は、やりたいばっかで全く駄目だよ、
好きだ愛してるのオンパレードで、許しも得ずに
勝手に肩を抱いてきたり、キスしようとしたり、
誰があんたなんかとって言いたくなるもん」
「はぁー、だからあなたは彼氏ができないの」
「あ〜あ、私の前にも君嶋さんみたいな素敵な人
が現れないかな」
娘の言葉に、私は何故か嬉しくなった。