38年前に別れた君に伝えたいこと
彼女は変わっていない、見た目は歳を重ねても内面は、僕が恋した18のままだった。
「砂浜に降りよっか?」
「いいねー、行きたい!」
あまり人が通らないのか、草が生い茂った道を、
彼女の手を取りながらゆっくりと降りて行く。
「圭くん、ちょっと怖いかなぁ」
「しっかり掴まってないと、置いてくよ」
「もう、そんな意地悪言わないでよ!」
お互い歳のせいもあるだろう。おぼつかない足取りで支え合うように進む。
砂浜に降りると、離れた所に数人の人影が見えた、
「サーファーだね、もう帰り支度をしているみたいだ。ん、美幸ちゃん?」
返事がなくて見渡すと、彼女は波打ち際に向かって走っていた。
「圭く〜ん、こっちー、早くきて」
もう若くないんだけど、
まぁ、つきあってあげるか、
彼女を追いかけて走る、すぐに追い付くとそのまま抜き去った、
「圭くん速すぎ、待ってよ」
止まって振り返ると、疲れたのか彼女は歩いていた。
彼女のペースに合わせて後ろ向きに歩く、
2人の距離は縮まらない。
「意地悪しないで、、
また、、私を一人にするの?」
彼女の言葉が胸に刺さった、、
その言い方、ずるいよ、、
立ち止まって、両手を広げてあげた。
笑顔で勢いよく飛び込んでくる彼女を抱き止めるつもりが、抱き合ったまま押されて倒れ込んでしまった。
そこに、運悪く波が攫う。
「つめた〜い」
「美幸ちゃん、びしょ濡れだよ〜」
「あはははは、別にいいじゃない!」
やっぱり笑顔の彼女が一番輝いている