再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜

前進

あれから1、2ヶ月に1回くらいの頻度でみんなで飲みに行くようになった。
夏目さんだけ30歳だが、他のみんなは私とほとんど年が変わらない。橋口くんは23歳と少し若いがあまり歳を感じさせない。
私は時々救急外来で働いているが、なかなかみんなとすれ違うことはない。けれどなぜか紗衣ちゃんは会ったりするらしい。とはいえ忙しくて会話を交わす時間もなくアイコンタクトで終わる方が多いと言っていた。
そんなこともあって私たちはなんとなく定期的に飲んでいる。

「そろそろ寒くなってきたし鍋の時期だよ」
と加藤くんから連絡が来た。
確かに11月に入り寒くなってきている。
今回は夏目さんの家でやろうとお誘いの連絡が来た。
いつもは外で飲むが鍋だから家でのんびりやろうと誘われ、それが夏目さんと家だと言われ思わず微笑んでしまった。

「のどかさん、夏目さんの家ですって。どんな感じなんでしょうね」

たまたま日勤が一緒になり、休憩室の隅で紗衣ちゃんと話をする時間が持てた。
お互い小さな声でコソコソと話してしまうのは、周りに聞かれると色々言われてめんどくさいからだ。

「そうだね。家で鍋ってちょっとウキウキしちゃうよね。夏目さんちなら荷物とかなさそう。きちっと片付いてそうじゃない?」

想像するだけでクスッと笑いが溢れてしまう。
紗衣ちゃんも笑って頷くと、

「夏目さんって落ち着いてますよね。お兄ちゃんって感じ。だから鍋も仕切っちゃいそうですよね」

うーん。
確かにそんなイメージかもしれない。
鍋奉行という言葉が似合いそう。
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