再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
材料を準備し終わるとようやく鍋が始まった。
大きなテーブルにカセットコンロを準備し、改めてみんなで乾杯をした。
夏目さんもようやくビールを手にした。
テーブルを囲み準備した鶏白湯を作り始めるが加藤さんが急に仕切り始めた。

「それまだ入れないでください!」

「あ、ごめんね」

紗衣ちゃんが謝ると夏目さんや橋口くんは笑い始める。

「こいついつもそうなんだよ。仕事で料理する時も案外仕切るんだよな」

「そうそう。だから放っておいていいよ」

いつもの光景らしくふたりはのんびりと鍋が出来上がるのを待つらしい。
私たちもやってくれるのならその方が助かる。そんなこだわりのある人に私が作ったものを出すのは忍びないもの。
ありがたいことに出来上がるのを待たせてもらっている間、私たちもお酒をもらうことにした。
加藤くんはこだわっているだけあり、鶏が硬くなる前に私のお皿に乗せてくれる。
野菜も絶妙な火の通り具合でとても美味しい。シメのラーメンがまたなんとも言えない。

「はぁ、食べたな」

本当にお腹が一杯になった。
準備した材料は全て使い切った。買いすぎかと思うほどの量を買ったのに、男の人3人いるだけでこんなに無くなるのかと驚いた。アルコールも用意していた分は無くなってしまった。
家飲みだからのんびりしてしまうのか、まだまだみんな飲み足りないし、話は尽きない。

「飲みもの買ってこようか?」

私が声をかけるとみんなはニヤッと笑っている。やはりまだ飲み足りないのね。
立ち上がるとコートを着るとバッグを持った。
すると夏目さんも立ち上がり、ジャケットを羽織り始める。

「夏目さんも飲んでていいですよ。来る途中で見かけたコンビニに行くだけなので」

「いや、女の子ひとりでこんな時間に買いに行かせるわけにはいかないだろ」

彼は玄関に向かって行ってしまい、私は追いかけた。
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