再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
しばらく休憩したところで夏目さんと席を立ち、会計をするが彼はさっと払ってしまう。

「車も出してもらっているのにここのお支払いまでなんて悪いです」

「いや、一緒に来てくれたお礼だよ」

「そんなわけにはいかないです」

ガソリン代や高速代だってある。
どうやって払おうか悩んでいると、夕飯を奢ってよと言われた。
確かに今ここで休憩したばかりなのですぐには食べられない。
けれど家の方まで帰れば少しは空くかもしれない。
このまま帰るのではなくて、もう少しだけ一緒にいる時間が延びたと思うと嬉しくなった。

帰りの車の中も話は尽きることなく、楽しい時間を過ごした。
夕飯はファミレスに寄り、彼にハンバーグをご馳走して、家まで送ってもらった。

「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」

助手席の窓から顔を出し、

「俺も楽しかったよ。ありがとう。それじゃ、またな」

手を上げると、車は静かに動き出した。
私は車が角を見えなくなるまで見送ると部屋へ戻った。
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