再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
あの後私から改めてお礼のメッセージを送ると彼から返信が来た。
そこからなんとなくやり取りが続き、久しぶりにご飯を食べることになった。
焼き鳥を食べに行こうと誘われ、駅で待ち合わせをするが久しぶりに履くヒールで足元が少しおぼつかない。混んでいる駅の改札付近でバランスを崩してしまった。近くにいた男性が転ぶ寸前に腕を掴み、支えてくれた。
「おっと。大丈夫?」
「あ、ごめんなさい。ありがとうございます」
スーツを着込んだ男性はガッチリしており、支えてもらった手も力強い。
「ヒールの靴可愛いけど、ひとりで歩くとあぶないよ」
優しい声に顔を見上げると少し日本人離れした彫りの深い顔立ちで、なかなかの高身長だ。ハーフなのか人目を引く整った顔に思わず見入ってしまった。
「のどかちゃん」
人ごみをかき分け夏目さんが見えた。
彼にも声が届いたのか、私がバランスを整えたのをみるとそっと手を離した。
「どうしたの?」
「転んでしまいそうなところを助けてもらって……」
「そうか。ありがとうございました」
私の手を掴むと助けてくれた男性に頭を下げ、お礼を言ってくれる。
そのまま彼の手に引かれるようにその場を後にした。
「夏目さん?」
「……」
「夏目さん」
「ごめん」
ようやく私の手を離し、歩く速度が落ちた。
いつもの彼らしくない姿に訳がわからない。
彼は何もなかったかのように話始めるが何か違う。いつもの彼とは違い、どこか会話がぎこちない。
一緒にご飯を食べていてもなぜ彼が目を合わせてくれないのかわからない。
ヤキモキするままにいつもより早く時間を切り上げ食事を終えた。
帰り際、彼にしては珍しい色のマフラーをしていた。いつもモノトーンでシンプルな服を見ることが多いのに、茶色と黒のボーダーのマフラーだった。
「夏目さんのマフラー素敵ですね」
「あぁ。誕生日にプレゼントしてもらったんだ」
誕生日? 全然知らなかった。
それにこれって男性が選ぶような品物ではない……。
「誕生日だったんですか?」
「11月15日なんだ」
「知らなくて何もプレゼントできなくてごめんなさい」
「いや、俺も誕生日なんて祝ってもらう年じゃないし」
そんなこと言ってもこのマフラーの人は誕生日を知ってて、プレゼントまでしてるんでしょ。やっぱり彼にとって私は親しい友人なんだ。
なんともいえない気持ちになってしまう。
「じゃ、また会った時に何か用意しますね。それじゃ……」
「あ……」
彼の呼び止める声が聞こえたが、私は足早にその場を去った。
今日の彼はなんだかいつもと違うし、それに誕生日プレゼントをもらうような仲の女の人がいると思うだけで胸の奥がモヤモヤしてしまった。彼の部屋に行った時のピンクのマグカップをふと思い出した。やっぱり彼には彼女がいるんだと思うと、これ以上深入りしないほうが自分のためだと心に決めた。
その後も彼からは時々メッセージが届くが今までのように話が長く続かないように心がけていた。
彼とやり取りするのはとても楽しい。深入りすると仲のいい友人でいられなくなってしまう。友人としての距離を間違えないようにしなくては。
そこからなんとなくやり取りが続き、久しぶりにご飯を食べることになった。
焼き鳥を食べに行こうと誘われ、駅で待ち合わせをするが久しぶりに履くヒールで足元が少しおぼつかない。混んでいる駅の改札付近でバランスを崩してしまった。近くにいた男性が転ぶ寸前に腕を掴み、支えてくれた。
「おっと。大丈夫?」
「あ、ごめんなさい。ありがとうございます」
スーツを着込んだ男性はガッチリしており、支えてもらった手も力強い。
「ヒールの靴可愛いけど、ひとりで歩くとあぶないよ」
優しい声に顔を見上げると少し日本人離れした彫りの深い顔立ちで、なかなかの高身長だ。ハーフなのか人目を引く整った顔に思わず見入ってしまった。
「のどかちゃん」
人ごみをかき分け夏目さんが見えた。
彼にも声が届いたのか、私がバランスを整えたのをみるとそっと手を離した。
「どうしたの?」
「転んでしまいそうなところを助けてもらって……」
「そうか。ありがとうございました」
私の手を掴むと助けてくれた男性に頭を下げ、お礼を言ってくれる。
そのまま彼の手に引かれるようにその場を後にした。
「夏目さん?」
「……」
「夏目さん」
「ごめん」
ようやく私の手を離し、歩く速度が落ちた。
いつもの彼らしくない姿に訳がわからない。
彼は何もなかったかのように話始めるが何か違う。いつもの彼とは違い、どこか会話がぎこちない。
一緒にご飯を食べていてもなぜ彼が目を合わせてくれないのかわからない。
ヤキモキするままにいつもより早く時間を切り上げ食事を終えた。
帰り際、彼にしては珍しい色のマフラーをしていた。いつもモノトーンでシンプルな服を見ることが多いのに、茶色と黒のボーダーのマフラーだった。
「夏目さんのマフラー素敵ですね」
「あぁ。誕生日にプレゼントしてもらったんだ」
誕生日? 全然知らなかった。
それにこれって男性が選ぶような品物ではない……。
「誕生日だったんですか?」
「11月15日なんだ」
「知らなくて何もプレゼントできなくてごめんなさい」
「いや、俺も誕生日なんて祝ってもらう年じゃないし」
そんなこと言ってもこのマフラーの人は誕生日を知ってて、プレゼントまでしてるんでしょ。やっぱり彼にとって私は親しい友人なんだ。
なんともいえない気持ちになってしまう。
「じゃ、また会った時に何か用意しますね。それじゃ……」
「あ……」
彼の呼び止める声が聞こえたが、私は足早にその場を去った。
今日の彼はなんだかいつもと違うし、それに誕生日プレゼントをもらうような仲の女の人がいると思うだけで胸の奥がモヤモヤしてしまった。彼の部屋に行った時のピンクのマグカップをふと思い出した。やっぱり彼には彼女がいるんだと思うと、これ以上深入りしないほうが自分のためだと心に決めた。
その後も彼からは時々メッセージが届くが今までのように話が長く続かないように心がけていた。
彼とやり取りするのはとても楽しい。深入りすると仲のいい友人でいられなくなってしまう。友人としての距離を間違えないようにしなくては。