再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
「お疲れ」
自然と下を向いていたのか声に驚き顔を上げると、スーツを着た夏目さんが目の前に立っていた。
「夏目さん?」
「おはよう。今終わりか? 疲れただろう。何か温かいものでも口にしてから帰らないか?」
なぜここに彼が?
私は立ち止まったまま何も返せずにいると、彼は笑顔で私の頭をポンポンとした。
「随分頑張ってるな。疲れただろう?」
頭に乗せられた彼の大きな手が疲れ切った私に安心感と癒しを与えてくれる。
「どうしてここに?」
「さっき搬送で原島総合病院に来たんだ。他の患者さんを対応していたが、ふと見かけた時の顔が何だか疲れ果てていて心配になった」
「心配かけてごめんなさい。でも大丈夫ですから」
この温かな手から抜け出せなくなりそうで怖い。
「スープの専門店があるんだ。温かくて美味しいし、寄って帰ろう。食べたらすぐに送り届けるから」
そう言うと、少しだけ強引に私の手を引っ張って行った。
私は引かれるままに歩き出した。
10分くらい歩くと住宅街の中に住宅を兼ねた店舗で赤と白のオーニングが目を惹く可愛らしいお店があった。駅に近いわけではなく、これでは普通見つけられないだろう。けれど店先には数人並んでおり、持ち帰る人も多いようだ。
店内に入ると中は白で統一されたシンプルな雰囲気だったが、飾られている写真が全て海にまつわるものだった。波の音がわずかに流れていてホッとする。
「俺はクラムチャウダーとライ麦パン。のどかちゃんはどうする?」
メニューを見ると色々な種類のスープが載っていて迷ってしまう。
「キノコのポタージュとチーズパンにします」
スープもパンもすぐに運ばれてきて、料理を待つ時間も気まずくならずに済んだ。
「美味しい……」
たくさんのきのことベーコン、ブロッコリーが入っていてとても体に良さそう。手作りの焼き立てチーズパンも中のチーズが柔らかくて美味しい。
どちらも優しい味付けで、お腹の中から温まっていく。
無心に食べてしまう。
半分くらい食べたところでハッと顔を上げると夏目さんと目が合った。
「美味しいようでよかったよ」
優しい視線に、無心で食べていた自分が恥ずかしくなる。手が止まってしまうと小さく笑いながら彼はまた食べ始める。
「フォッカッチャもください」
彼はパンが足りないのか追加注文をしていた。
届いたのはハーブの香りがほのかに香って美味しそう。
彼は手に取ると1/3くらいを私のお皿に乗せてくれた。
「このパンも美味しいんだ。試してみて」
「ありがとうございます」
先ほどまで疲れ果てて、家に帰っても食べずに寝てしまおうと考えていたはずなのに、こんなに食べれるなんて不思議。お腹の底から温まり、気持ちがほぐれていくのがわかった。
自然と下を向いていたのか声に驚き顔を上げると、スーツを着た夏目さんが目の前に立っていた。
「夏目さん?」
「おはよう。今終わりか? 疲れただろう。何か温かいものでも口にしてから帰らないか?」
なぜここに彼が?
私は立ち止まったまま何も返せずにいると、彼は笑顔で私の頭をポンポンとした。
「随分頑張ってるな。疲れただろう?」
頭に乗せられた彼の大きな手が疲れ切った私に安心感と癒しを与えてくれる。
「どうしてここに?」
「さっき搬送で原島総合病院に来たんだ。他の患者さんを対応していたが、ふと見かけた時の顔が何だか疲れ果てていて心配になった」
「心配かけてごめんなさい。でも大丈夫ですから」
この温かな手から抜け出せなくなりそうで怖い。
「スープの専門店があるんだ。温かくて美味しいし、寄って帰ろう。食べたらすぐに送り届けるから」
そう言うと、少しだけ強引に私の手を引っ張って行った。
私は引かれるままに歩き出した。
10分くらい歩くと住宅街の中に住宅を兼ねた店舗で赤と白のオーニングが目を惹く可愛らしいお店があった。駅に近いわけではなく、これでは普通見つけられないだろう。けれど店先には数人並んでおり、持ち帰る人も多いようだ。
店内に入ると中は白で統一されたシンプルな雰囲気だったが、飾られている写真が全て海にまつわるものだった。波の音がわずかに流れていてホッとする。
「俺はクラムチャウダーとライ麦パン。のどかちゃんはどうする?」
メニューを見ると色々な種類のスープが載っていて迷ってしまう。
「キノコのポタージュとチーズパンにします」
スープもパンもすぐに運ばれてきて、料理を待つ時間も気まずくならずに済んだ。
「美味しい……」
たくさんのきのことベーコン、ブロッコリーが入っていてとても体に良さそう。手作りの焼き立てチーズパンも中のチーズが柔らかくて美味しい。
どちらも優しい味付けで、お腹の中から温まっていく。
無心に食べてしまう。
半分くらい食べたところでハッと顔を上げると夏目さんと目が合った。
「美味しいようでよかったよ」
優しい視線に、無心で食べていた自分が恥ずかしくなる。手が止まってしまうと小さく笑いながら彼はまた食べ始める。
「フォッカッチャもください」
彼はパンが足りないのか追加注文をしていた。
届いたのはハーブの香りがほのかに香って美味しそう。
彼は手に取ると1/3くらいを私のお皿に乗せてくれた。
「このパンも美味しいんだ。試してみて」
「ありがとうございます」
先ほどまで疲れ果てて、家に帰っても食べずに寝てしまおうと考えていたはずなのに、こんなに食べれるなんて不思議。お腹の底から温まり、気持ちがほぐれていくのがわかった。