再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
お正月になり、年末年始の救急外来は地域の病院が休みのため、原島総合は大忙しだ。
私も二日間シフトに入っていたが、ひっきりなしに外来には患者さんが訪れ、救急車も受け入れ要請が何度も入っていた。
その度に彼らの隊じゃないか、とつい耳をそばだててしまう。
けれど彼らとばったり会うことはなく、がっかりした気持ちになる。
意とせず会ってしまう時もあるのに、会いたいなと思う時には会わないものなのか。
こうやって徐々に忘れていくのもいいのかもしれない。
「佐伯さん、もう上がり?」
ふと後ろから呼び止められ、振り返ると原島先生がいた。この病院の跡取りで外科の医師だ。奥さんの由那ちゃんと一緒に働いていた縁でプライベートでも仲良くなり、その流れで原島先生ともよく話すようになった。
「由那が佐伯さんとおしゃべりしたいって言ってたよ」
「本当? 私もです。由那ちゃんのお腹大きくなってきたでしょう?」
「ああ。もう8ヶ月だからな」
由那ちゃんは結婚を機に彼と一緒にロンドンへ渡った。彼の留学を支え、ようやく日本に帰ってきたと思ったら彼女のお腹には赤ちゃんがいて驚いた。ロンドンにいる間もやり取りは続いていたが、妊娠のことは教えてもらえず、再会した時にはとても驚いた。サプライズ大成功! なんて呑気に笑っている彼女を見て、とても幸せなんだと実感させられた。
「もうどちらかわかってるんですよね?」
「あぁ。でもみんなには内緒なんだってさ。意外とサプライズが好きなんだろうな」
笑っている原島先生の表情はとても穏やかで、ロンドンに行く前よりもずっと魅力的になって帰ってきた。もともと優しい先生ではあったけど、技術を磨いて、さらには男性としても家庭を持ったことで余裕のようなものが生まれたようだった。
「佐伯さん、もう仕事を上がるならうちに来ない? 由那にサプライズを仕掛けてやろう」
ちゃめっ気のある顔で笑う原島先生の顔は幸せいっぱい。今日は私もそんなふたりの幸せのお裾分けをもらいに伺うことにした。
早速原島先生は、今から家に帰るけど友達が少しだけ寄るけどすぐに帰るから、と連絡を入れていた。
私はパーキングに止まっている原島先生の車に乗り込むと由那ちゃんの好きなプリンを買いたいので寄り道をお願いした。先生もそこのプリンはよく知っていて、快く寄り道に付き合ってくれた。
私も二日間シフトに入っていたが、ひっきりなしに外来には患者さんが訪れ、救急車も受け入れ要請が何度も入っていた。
その度に彼らの隊じゃないか、とつい耳をそばだててしまう。
けれど彼らとばったり会うことはなく、がっかりした気持ちになる。
意とせず会ってしまう時もあるのに、会いたいなと思う時には会わないものなのか。
こうやって徐々に忘れていくのもいいのかもしれない。
「佐伯さん、もう上がり?」
ふと後ろから呼び止められ、振り返ると原島先生がいた。この病院の跡取りで外科の医師だ。奥さんの由那ちゃんと一緒に働いていた縁でプライベートでも仲良くなり、その流れで原島先生ともよく話すようになった。
「由那が佐伯さんとおしゃべりしたいって言ってたよ」
「本当? 私もです。由那ちゃんのお腹大きくなってきたでしょう?」
「ああ。もう8ヶ月だからな」
由那ちゃんは結婚を機に彼と一緒にロンドンへ渡った。彼の留学を支え、ようやく日本に帰ってきたと思ったら彼女のお腹には赤ちゃんがいて驚いた。ロンドンにいる間もやり取りは続いていたが、妊娠のことは教えてもらえず、再会した時にはとても驚いた。サプライズ大成功! なんて呑気に笑っている彼女を見て、とても幸せなんだと実感させられた。
「もうどちらかわかってるんですよね?」
「あぁ。でもみんなには内緒なんだってさ。意外とサプライズが好きなんだろうな」
笑っている原島先生の表情はとても穏やかで、ロンドンに行く前よりもずっと魅力的になって帰ってきた。もともと優しい先生ではあったけど、技術を磨いて、さらには男性としても家庭を持ったことで余裕のようなものが生まれたようだった。
「佐伯さん、もう仕事を上がるならうちに来ない? 由那にサプライズを仕掛けてやろう」
ちゃめっ気のある顔で笑う原島先生の顔は幸せいっぱい。今日は私もそんなふたりの幸せのお裾分けをもらいに伺うことにした。
早速原島先生は、今から家に帰るけど友達が少しだけ寄るけどすぐに帰るから、と連絡を入れていた。
私はパーキングに止まっている原島先生の車に乗り込むと由那ちゃんの好きなプリンを買いたいので寄り道をお願いした。先生もそこのプリンはよく知っていて、快く寄り道に付き合ってくれた。