再会から始まる両片思い〜救命士の彼は彼女の心をつかまえたい〜
最寄駅に着くと、ドアから多くの人が押し出されるようにホームへと下ろされた。
私の手は彼のコートから離れたが、彼の手は私の背中に回ったまま。このままの体勢で改札も通り抜けた。
人が少なくなったにも関わらず彼は私との距離を取ることなく密着したまま。
もちろん嫌なわけじゃない。でもどうしてこんなことするのかわからない。
彼には決まった人がいるのに、私にこんなことをするなんてダメだと思う。
嬉しい気持ちを押し殺し、私は何気なくそっと彼から距離を置こうとしたが何故か離れない。
「のどかちゃんは原島先生と付き合ってるのか?」
突然の質問に驚いた。なんで原島先生?
「彼は既婚者だよ。そんな不毛な恋愛しちゃダメだよ」
彼の言葉の意味がわからない。どうして今原島先生の話が出るのか。不毛な恋愛ってなに?
「どういう意味ですか?」
「原島先生は確かにいい先生だ。急患にも落ち着いて対応してくれるし、なにより人としても人格者だと思う。綺麗な整った顔をしていて、モテるのも分かる。でものどかちゃんに既婚者は合わない」
私が原島先生と何かあるって思っているの?
既婚者である先生、ましてや仲のいい由那ちゃんの旦那さんとそういう関係になるなんてありえない。私をそういう目で見てるの? 尻軽だと思われてるの? だから夏目さんは決まった人がいるのにこうしたスキンシップが多いの? 初めて彼に失望した。さっきまでのドキドキした感情はすっかり薄れ、心はすっかり冷え切ってしまった。
「不倫なんてしません」
私はそれだけ言うと、さようならと言い捨て走り出した。
なんだか馬鹿にされたようで、悔しくて感情が抑えきれず、涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。
もうやだ……。
悲しくて、切なくて胸が締め付けられる。
なんで夏目さんにそんなこと言われなきゃならないの?
さっきまでの楽しい気持ちも、夏目さんの腕の中で過ごした電車の中でのドキドキも何もかもが音を立てて崩れていくようだった。どうしてうまくいかないんだろう。
私の手は彼のコートから離れたが、彼の手は私の背中に回ったまま。このままの体勢で改札も通り抜けた。
人が少なくなったにも関わらず彼は私との距離を取ることなく密着したまま。
もちろん嫌なわけじゃない。でもどうしてこんなことするのかわからない。
彼には決まった人がいるのに、私にこんなことをするなんてダメだと思う。
嬉しい気持ちを押し殺し、私は何気なくそっと彼から距離を置こうとしたが何故か離れない。
「のどかちゃんは原島先生と付き合ってるのか?」
突然の質問に驚いた。なんで原島先生?
「彼は既婚者だよ。そんな不毛な恋愛しちゃダメだよ」
彼の言葉の意味がわからない。どうして今原島先生の話が出るのか。不毛な恋愛ってなに?
「どういう意味ですか?」
「原島先生は確かにいい先生だ。急患にも落ち着いて対応してくれるし、なにより人としても人格者だと思う。綺麗な整った顔をしていて、モテるのも分かる。でものどかちゃんに既婚者は合わない」
私が原島先生と何かあるって思っているの?
既婚者である先生、ましてや仲のいい由那ちゃんの旦那さんとそういう関係になるなんてありえない。私をそういう目で見てるの? 尻軽だと思われてるの? だから夏目さんは決まった人がいるのにこうしたスキンシップが多いの? 初めて彼に失望した。さっきまでのドキドキした感情はすっかり薄れ、心はすっかり冷え切ってしまった。
「不倫なんてしません」
私はそれだけ言うと、さようならと言い捨て走り出した。
なんだか馬鹿にされたようで、悔しくて感情が抑えきれず、涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。
もうやだ……。
悲しくて、切なくて胸が締め付けられる。
なんで夏目さんにそんなこと言われなきゃならないの?
さっきまでの楽しい気持ちも、夏目さんの腕の中で過ごした電車の中でのドキドキも何もかもが音を立てて崩れていくようだった。どうしてうまくいかないんだろう。