めぐり愛
・あいつ
最初は私の抵抗に対する寺田からの暴力は、いつしか寺田のストレスの矛先が私への暴力へとなっていた。
痛い・・・
痛いよ・・・
このまま死ねたら楽になるの?
夏休みに入ると暴力はエスカレートしていった。
昼夜問わず、寺田は私に暴力を振るった。
決して顔や足、見える所には傷をつくらない。
だから施設の人達にばれることもなかった。
その夜、寺田に蹴られたお腹の痛みに耐えながらボーッと窓の外を眺めていた。
真っ暗な部屋にパッと色とりどりの光が入ってきた。
ヒュ〜・・・・・ドンッ・・・!!
花火だ。
綺麗・・・
あぁ、私にも何かを綺麗だと感じる感覚はまだ残ってたんだ。
無性に悲しくなった。
辛いのか寂しいのか分からない。
でも悲しい。
気付くと痛む身体を引きづり施設を抜け出していた。
行くところなんてない。
だけどあのまま一人部屋にいたら、自分が消えてなくなりそうだった。
たどり着いたのはあの公園。