めぐり愛

「よし、じゃあここにいろ。」

・・・え?
驚き顔を上げると、そこにあったのは春樹さんの笑顔だった。
そして春樹さんは言葉を続ける
「今、夏休みだろ?身体のこともあるし、しばらくここにいろ。これからのことは俺も一緒に考えてやるから。」

「あの・・・いいんですか?見ず知らずの私なんかおいても。」

春樹さんはフッと笑い
「見ず知らずってか、俺は結構前からお前のこと知ってた。」

春樹さんが私を知ってた・・・?

「知ってたって、どういうことですか?」

「お前、毎日あの公園にいただろ。あそこ俺の仕事行く通り道なんだよ。で、あの子毎日いるな〜って見てた。」

確かに公園へは毎日のように行っていた。
だけど、そんな風に誰かに見られてるなんて考えたことがなかった。

「そうだったんですか。なんか私、怪しい子ですよね。毎日公園にいるなんて。」

ははっと自分自身に呆れるような乾いた笑いが出た。

「いっても寂しそうだな〜って見てた。」

「寂しそうか・・・寂しいなんて感情忘れちゃったな。」

小さく呟いた私の頭に温かい重みを感じた。
春樹さんの手だ。

「でも、あの公園がお前の居場所だったんだろ?これからはここがお前の居場所だから。」

私の頭を撫でながら話す春樹さんは、やっぱり優しい顔だった。



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