めぐり愛
「あの、私・・・弟がいるんです。・・・あの施設に。」
「そっか。で、どうしたい?」
「心配してると思うんです。会いに・・・行こうと思うんです。」
何かを考えてるような表情を見せた春樹さん。
陸、どうしてるかな。
元気にしてるかな。
「じゃあ、会いに行くか。」
いつもの優しい顔で
「俺も一緒に行く。」
そう続けた。
「私、1人で行けますよ。」
「これからのこともあるだろ?だから、俺も一緒行く。」
きっと分かってたんだ。
私が陸に本当のこと、寺田のことを話せない。
これからのことも、うまく話せない。
この短い間に、私が思ってるほどに春樹さんは私のことを分かってくれている。