めぐり愛

「蘭ちゃん、静かにしようね。」


・・・寺田だ。

寺田の手は私の腹部を撫で、服の中に入ってきた。

「んん・・・!ん〜!!!」
必死に抵抗する私に、全く動揺することなく寺田は小さな声で言った。

「静かにしなさい。大きな声を出したら皆起きちゃうよ。・・・ここに居れなくなってもいいの?行くとこないんだろ?陸くんはとっても毎日が楽しそうなのにねえ。蘭ちゃんがちょっと我慢すれば陸くんは幸せになれるんだよ。」

中学二年の私を脅すには十分の言葉だった。

陸が・・・今の私には陸しかいないんだ。
陸は私が守らなきゃいけないんだ。



頬を流れる涙。
悔しいのか悲しいのか情けないのか分からない。

ただ今は我慢するしかないんだ。


寺田の手が私の身体を這い回る。
何も感じない。
痛さも何も・・・。


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