魔法が解けるその前に



「…………………………え?」

『ふふっ、気づいたかな?久しぶり、あーさひ』


「え、えっ、えっ、えっえっえっ」

『あははははっ!あさひ、あさひっ、久しぶりだね』

「佑って、たすく!?」

頭の中が大混乱だ。

「白馬の王子様って…あんたはなれないって言ったはずだよ!もうっからかうなんてっ」

白馬の王子様という単語でわかったのは、黒歴史だからだ。

高校時代も冷たい性格だった私は、恋愛なんて興味がなくて、適当に白馬の王子様が迎えにきたら結婚するなんて言ってしまったのだ。

あの時の会話が一気に蘇り、恥ずかしくて顔が熱くなってくる。

『やっぱお前最高。面白いな』

「は、はいぃ?何言ってんの」

どうせこれもからかわれてんの。

そんなことはわかってる。
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