あの日の出会いに感謝して

かけおち?!

私たちはDMで仲良くなってから、実際にあうことになった。

凄くどきどきして、夜は全然眠れなかった。


約束の時間、駅での待ち合わせ場所にむかうと1人の男の子が立っていた。
多分あれが冬夜だ。

透き通る肌に、凛とした目、きちんとした鼻筋に思わず息のとまる思いをした。
本当にこの人が私と同じ境遇なのかと考えると、思わず

「今の親のもとにうまれてなければ、この子はモデルになって輝いていたかもしれない」

と思ってしまった。


声をかけようとすると冬夜の方が気づいて、近寄ってきてくれた。

「こんにちは。あなたが明花ちゃん?」

「は、はい!えっと、あなたは冬夜くん?」

「そうだよ、やっと会えたね。」

「うん!」

最初こそよそよそしい会話をしていたものの、時間がたつにつれて、DMで話していたようないつもの会話になった。
冬夜くんは、私の話を聞いてくれて、やさしくしてくれた。



気づいたら時計は7時をさしていた。

「もうこんな時間か。明花ちゃん帰らないとだよね、また遊ぼうね」

冬夜くんは寂しそうにそう言った。私も

「うん、じゃあね。」

と言ったけれど、本当は家になんか帰りたくなかった。家に帰ったところでまたつらい思いをするだけだから。

暗い気持ちで別れてから駅の方に向かって歩いていると、急に後ろから手をつながれた。

ビクッ

びっくりして後ろを振り向くと、そこには冬夜くんがいた。

「ど、どうしたの?!」

私はわけがわからず冬夜くんに聞いた

「いや、明花がつらそうに見えたから……」
「ねぇ、家に帰るのが嫌なら、僕とにげよう!」

「は?」

思考が停止するとはこういうことなんだろうか。頭が真っ白になった。

「帰ってつらい思いをするくらいなら、僕と逃げようよ!誰にも見つからない場所で僕と暮らそう!」

確かに、できるなら私もそうしたいと思った。けれど、そんなこと今の私たちにできるわけがない。

「何言ってるの冬夜くん!!」
「無理だよ!私たちまだ中一なんだよ?」

「できるよ!お金ならある!明花ちゃんは僕が守るから!!」

「え?」

なに、今のセリフ。まるで、告白みたいじゃない!!

「ね!行こ!」

私はなにも返事ができず、半ば強引に冬夜くんと逃げることが決まってしまった。

これはもはや、逃げるというよりかけおちでは?!
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