もう、オレのものだから〜質実剛健な警察官は、彼女を手放さない〜

「こんな時間にこんな所でどうしたんですか?女性が一人で、危ないです」


近づいてくるその声に顔を上げてみれば、そこにはフード付きのショートダウンに身を包み、コンビニの袋らしきものをぶら下げた犬飼さんがいた。


「い、犬飼さん……?どうしてここに……?」

「オレの自宅、この近くなんです。今日は非番で、ちょっとコンビニまで行ってきた帰りです。ってオレのことより葉菜先生は、」


そこで犬飼さんが不自然に言葉を切った。そしてゆっくりとした動作で腰を折り、私の顔を覗き込む。


「もしかして、泣いて、ました……?」


言われて慌てて自分の頬に手を当てる。でも残念ながら冷え切ってかじかんだ手の平では何も感じ取ることは出来なかった。

涙を流していた自覚はなかったけれど、でも指摘されるということはきっとそうだったのだろう。


「……何か、あったんですか?」


何も言わない私に、犬飼さんが気遣わしげに問い掛ける。
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