もう、オレのものだから〜質実剛健な警察官は、彼女を手放さない〜
「いや、強引に誘ったのオレだから。それより体調は大丈夫か?」
「は、はい、怠いのと、頭が少し痛むくらいで……。……あの、ところで私、どうしてベッドに……?」
柔軟剤だろうか。それともお日様の匂い?
とても落ち着く香りのする布団に包まれていた自分を見下ろし、不思議に思ってそう尋ねる。
「運んだ」
するとそこに返ってきた端的な答えに、私は絶句した。
……運ばせた挙句、家主を差し置いてベッドを占領するとかあり得ない……!だって犬飼さんのことだから、絶対ベッドでは寝てないよね⁉︎
「ごごご、ごめんなさい……っ‼︎」
「ふ、さっきから謝ってばかりだな。気にするな。ちなみにオレはソファーで寝たし、約束通り手は出してないから安心していい」
やっぱり……!もうあまりの申し訳なさに、私は縮こまるしかない。
「あ!そこはもう全く疑ってませんので……!」
それでもそこだけは前のめり気味でちゃんと伝えれば、彼からは僅かな苦笑が返ってきただけだった。
どうやら犬飼さんの表情筋は、昨日から引き続き精力的に活動しているらしい。寝起きにさっきからのそれは、なかなかの破壊力だ。