もう、オレのものだから〜質実剛健な警察官は、彼女を手放さない〜

「今週一回もここ通らなかったから寂しかったよー。ほら、久しぶりで犬飼も嬉しそう」


正反対だからこそ良いコンビなんだとここのハコ長さんが以前仰っていたけれど、表情に現れにくい犬飼さんの些細な変化に気付けるのは、やはり良いコンビたる所以なのだろうな、と思う。

でも残念ながら私如きには、犬飼さんのその微妙な表情の変化は分からなかった。

あの日は割と分かりやすかったのにな……、なんて寂しく思ってしまうのは、烏滸（おこ）がましいにも程がある。


「子供達のお気に入りスポットがたくさんあり過ぎて、そう言えばこっちに来るのは久しぶりだったわね、葉菜先生」


後ろから聡子先生も会話に加わる。


「あ、ああ、そうでしたね！…やっぱり子供達の元気な姿が見られないと、ちょっと寂しいですよね。来週はもう少しみんなの顔、見せに来られるようにしますね！」


私が気を取り直してそう言えば、


「そうしてくれたら嬉しいなぁ。な、犬飼？」


ニコニコ嬉しそうな笑みを浮かべた鶴咲さんに小突かれた犬飼さんも、こくりと頷いた。