約束
1時間50分かけて電車を乗り継ぎ、
やっと鎌倉に到着する。

改札口を抜けて、
東口へ出ると平日だというのに
すごい人だかりが出来ていた。

これも、
きっと電車が停まるというハプニングが
起きてしまったせいだろう。

人だかりを抜けて、
まず向かう先は『鶴岡八幡宮』だ。

『小町通り』という、
様々な店が集まって賑わいを
見せている通りをまっすぐに進んでいくと
T字路に出る。

そこを右へ曲がっていくと
スクランブル交差点が見え、
その目の前に目的の鶴岡八幡宮がある。



「へぇ~……鶴岡八幡宮って
こんなに大きかったんだ……。」



僕は独り言をしゃべるように
小さな声で呟いた。

ゆいは、地図を鞄から取り出すと
位置を確認して進んでいく。

すると、5分と経たないうちに
目的のところへついたのか足を止め、
大きな建物を見上げた。


「舞殿……?ここって、本宮じゃないよ?」

「ここで、待ち合わせしたよね。」

「……え?」


ゆいが話すことに疑問を抱き
「どういうこと?」と聞こうとするが、
口を開く前に彼女は
その舞殿に背を向けて
さっき来た道を戻り始める。

僕は、さっき話したゆいの言葉が
どんな意味を指しているのか
分からないまま、彼女の背中を追いかけた。
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