人間オークション ~100億の絆~
Episode1
あの手紙を読んでから3日経つ今朝、百合婆ちゃんの家の前に大きなトラックがやってきた。百合婆ちゃんは驚いていたけど、トラックから降りてきた人たちは真っ先に私の元へと来て、トラックの後ろから荷台の中に入れられた。外からは鍵がかけられてしまい何処に行くのかも、これから何をするのかも分からない。
幸か不幸かトラックの中は電球がつけられていて明るい。周りを見ると私と同じように使い古した服を着ている年が近そうな子供たちが背中を丸めて座っていた。
でも、彼らの顔はひどく絶望的で泣いている子もいる。
「なんであなたたちは泣いてるの?」
「だって、これから僕たち売られるんだよ。人間オークションなんて都合のいい名前つけてるけど、お金いっぱい持ってるやつらが僕たちを見て買うんだって。奴隷にしてコキ使われるんだ。」
冷めた顔で淡々と話しだす男の子。
私たちを買うってどういうこと……?奴隷…?
「僕のお兄ちゃんも人間オークションに出させられたんだ。人間オークションで買ってもらえばお家にお金が入るからって。でも、お金が入る代わりにお兄ちゃんは2度と帰ってこなかった。きっと酷いことされて死んじゃったんだ。」
「出させられてって、どういうこと……?招待状もらったんじゃないの……?」
私の言葉に彼らがざわつく。憎まれるような視線とたくさんの小言が聞こえてくる。この子たちも招待状をもらったからここにいるんじゃないの…?
「招待状なんてあるわけないだろ!ロクな仕事に就けない親に売られて連れてこられたんだ。人間オークションっていうのは親が金目当てで子供を売るんだよ、大金のために。」
「そうだよ。招待状なんていう参加を選べるような選択肢はないんだよ。お前、さては人間オークションの回しもんだな。俺らを見物しに来たのかよ!?」
1人の言葉に何人もが連なっていき私への罵声が響いていく。絶望的だった彼らの顔は私への憎しみでいっぱいになり不安と恨みをぶつけている。
「私…知ってるよ。招待状のこと。」
騒がしい声を遮ったのは綺麗な長い黒髪の女の子だった。パッとみた印象は少し暗めの子だけど、育ちが良さそうな雰囲気だった。
「招待状を貰う子は、最初から目をつけられている子だよ。ただの奴隷じゃない。オークションで落札された後にさらに売り飛ばされて酷い目に遭うって聞いたことがある。」
「酷い目…?」
「な、なんでお前そんなこと知ってんだよ。」
「私のお姉ちゃんがそうだったから……それに、私もそうだから。」
彼女がポケットから出した紙は私がもらった紙によく似ていた。それじゃあこの子も私と同じ目をつけられた子ってこと……?
「君たちはさっき散々なことを言っていたけど君たちの方がまだ分かりやすくて助かる奴隷だよ。ただ働かされるだけで済む。」
「………。」
その言葉に誰も何も発さなくなった。私も何も言えなくなった。彼女の言葉に恐怖を感じた。働かされるだけでない、売り飛ばされる奴隷。
さっきまで罵声を吐いていた子たちは大人しくなり私たちを見る目つきが変わった。きっと可哀そうだと思っているんだ。
そんな彼らの横を通り過ぎ彼女の隣に座る。一瞬驚いたような顔をしていた。
「ねえ、どうしてあなたはそんなに淡々としてるの…?あなたも招待状もらっていて、招待状の意味も知っているのに……。」
「私は……お姉ちゃんを探すために参加したの。招待状が来たってことは買い手がもう粗方決まっているってこと。それなら落札されないって言う心配はない。」
「怖く…ないの…?」
「怖さなんてもう感じないよ。お姉ちゃんが帰ってこないことが分かった時の方がもっと怖かった。親は子供をお金に換えて、その子供は何のために生きるか。ただ恐怖を感じるだけよりそう考える方が生きていられる。」
「あなた、名前は?私は長月命。」
「私は里香。弥生里香(やよいりか)。」
これから私たちが向かう場所。そこが本当の始まりになる。
幸か不幸かトラックの中は電球がつけられていて明るい。周りを見ると私と同じように使い古した服を着ている年が近そうな子供たちが背中を丸めて座っていた。
でも、彼らの顔はひどく絶望的で泣いている子もいる。
「なんであなたたちは泣いてるの?」
「だって、これから僕たち売られるんだよ。人間オークションなんて都合のいい名前つけてるけど、お金いっぱい持ってるやつらが僕たちを見て買うんだって。奴隷にしてコキ使われるんだ。」
冷めた顔で淡々と話しだす男の子。
私たちを買うってどういうこと……?奴隷…?
「僕のお兄ちゃんも人間オークションに出させられたんだ。人間オークションで買ってもらえばお家にお金が入るからって。でも、お金が入る代わりにお兄ちゃんは2度と帰ってこなかった。きっと酷いことされて死んじゃったんだ。」
「出させられてって、どういうこと……?招待状もらったんじゃないの……?」
私の言葉に彼らがざわつく。憎まれるような視線とたくさんの小言が聞こえてくる。この子たちも招待状をもらったからここにいるんじゃないの…?
「招待状なんてあるわけないだろ!ロクな仕事に就けない親に売られて連れてこられたんだ。人間オークションっていうのは親が金目当てで子供を売るんだよ、大金のために。」
「そうだよ。招待状なんていう参加を選べるような選択肢はないんだよ。お前、さては人間オークションの回しもんだな。俺らを見物しに来たのかよ!?」
1人の言葉に何人もが連なっていき私への罵声が響いていく。絶望的だった彼らの顔は私への憎しみでいっぱいになり不安と恨みをぶつけている。
「私…知ってるよ。招待状のこと。」
騒がしい声を遮ったのは綺麗な長い黒髪の女の子だった。パッとみた印象は少し暗めの子だけど、育ちが良さそうな雰囲気だった。
「招待状を貰う子は、最初から目をつけられている子だよ。ただの奴隷じゃない。オークションで落札された後にさらに売り飛ばされて酷い目に遭うって聞いたことがある。」
「酷い目…?」
「な、なんでお前そんなこと知ってんだよ。」
「私のお姉ちゃんがそうだったから……それに、私もそうだから。」
彼女がポケットから出した紙は私がもらった紙によく似ていた。それじゃあこの子も私と同じ目をつけられた子ってこと……?
「君たちはさっき散々なことを言っていたけど君たちの方がまだ分かりやすくて助かる奴隷だよ。ただ働かされるだけで済む。」
「………。」
その言葉に誰も何も発さなくなった。私も何も言えなくなった。彼女の言葉に恐怖を感じた。働かされるだけでない、売り飛ばされる奴隷。
さっきまで罵声を吐いていた子たちは大人しくなり私たちを見る目つきが変わった。きっと可哀そうだと思っているんだ。
そんな彼らの横を通り過ぎ彼女の隣に座る。一瞬驚いたような顔をしていた。
「ねえ、どうしてあなたはそんなに淡々としてるの…?あなたも招待状もらっていて、招待状の意味も知っているのに……。」
「私は……お姉ちゃんを探すために参加したの。招待状が来たってことは買い手がもう粗方決まっているってこと。それなら落札されないって言う心配はない。」
「怖く…ないの…?」
「怖さなんてもう感じないよ。お姉ちゃんが帰ってこないことが分かった時の方がもっと怖かった。親は子供をお金に換えて、その子供は何のために生きるか。ただ恐怖を感じるだけよりそう考える方が生きていられる。」
「あなた、名前は?私は長月命。」
「私は里香。弥生里香(やよいりか)。」
これから私たちが向かう場所。そこが本当の始まりになる。