人間オークション       ~100億の絆~
「とうとうこの日になったか……。」
「何の日なの……?」

「且功の元婚約者の麗亜様が住みに来るんだ。」
「へー、そうなん……元婚約者ってどういうこと!?住みに来るって!?」

「且功は命(みこと)には言っていなかったのか。神無月家との婚約は問題なく解消したんだが、麗亜は納得がいかないって言ってるんだ。だから何で婚約解消になったのかを知るために住むんだとさ。納得ができるまでは帰らないとまでも言ってる。お嬢様にとっては今までの如月家とは全く違う場所になるから彼女お得意の悪口が出まくりですぐに帰るだろうがな。」

「麗亜さんはそんなに且功のこと、好きだったんだね。」
「でも且功は麗亜のことを好きじゃなかった。ただ、如月家の跡継ぎとして仕方のない政略結婚だったからな。」

「且功は麗亜さんに幻滅させたくて、麗亜さんはどうして婚約解消したのか、どうしてわざわざ屋敷を建て直したのか……今までとは変わった且功を愛せるかを……確かめに来るってこと…?」

「……お前もだいぶ頭が回るようになったな。」
「私は……麗亜さんが怖い。嫌い。だから……麗亜さんには早く帰ってほしい。」

「……お前は、且功のことが好きか…?」
「へ……?」

「……いや、ふと思っただけだから気にしなくていい。だけどもし且功のことを好きになったというなら麗亜には気をつけろ。あの人は手に入れるためにはどんな手でも使う人だ。ここに住んでる間お前に火の粉が飛ぶ可能性はある。」

「うん、分かった。気を付ける。」

「……あともう一つ伝えておきたいことがある。もしもお前が本当に且功を好きだと思う日が来たら、俺からもお前に伝えたいことがある。」
「それって……?」

「…まだ内緒だ。」
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