人間オークション ~100億の絆~
お風呂、気持ちよかったなぁ。
お風呂から出たら咲月さんが如月さんの部屋まで案内してくれた。内心逃げたかったけどお風呂に入れてもらったんだし挨拶くらいはしなきゃいけないと思ったから。
「お風呂、ありがとう……。でも、勘違いしないで。感謝なんかしないから。」
「お前は馬鹿だな。感謝しないくせに最初に礼を言っているじゃないか。」
「何よ!やっぱり言うんじゃなかった。」
「お前は感情に素直なやつだな。なんで人間オークションになんか参加した?」
「別に。ただ…1週間食事と寝床がもらえるならって思っただけ。」
「食事と寝床って、お前玩具って言うより犬だな。親に売られたのか…?」
「親なんて…ずっといないよ。私が10歳のときに病気で死んじゃったもん。」
私の言葉に如月さんは言葉を詰まらせた。この人も、私のことを可哀そうだと思うんだろうか。
「お前、今14だろ。4年も1人で辛くなかったのか?」
「辛いって何が…?私にとっては当たり前のことで普通のことだもん。家なんてない。お金もない。親もいない。それが普通。」
「……そうか…すまなかったな。」
「それって同情…?そんなのいらないよ。」
「そうかもな……。食事の時間だ。」
「私に命令しないでよ!」
如月さんが謝ってくれた時、どんな顔をしていたのかはよく見えなかったけど、声に優しさと温かさを感じた気がした。同情なんて要らないってずっと思ってたけど、なんだろう……この胸にある温もりは。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これ、何?」
「何って食事だ。ナイフとフォークを使うのは当たり前だろ。」
食事をとりに来たのはいいけど豪華すぎる料理に使い方が分からない銀色の尖ったものと4本に枝分かれしてるもの。これがナイフとフォーク……?
「使うのは初めてか…?」
「うん……。」
「分からないなら別に使わなくていい。どうせここには僕しかいない。手掴みでも構わない。」
そうは言われても咲月さんの視線が鋭くて怖い。それに、これからはこれが当たり前になるなら覚えなきゃいけないよね。
「いい。頑張って使う。」
尖っているほうで料理を切っていく。ギコギコと食器と擦れる音が響く。メイドさん(?)と言われる人たちにクスクスと笑われている気がする。それでも、私は切るのをやめない。
「命(みこと)、今お前が使っているのはナイフだ。もう1本がフォーク。左手でフォークを持って料理を押さえながら右手でナイフを使って切れ。」
如月さんに言われた通りにやってみるとさっきまで全然できなかったのに簡単に料理を切ることができた。フォークに刺し口元へ運ぶ。
今までに食べたことのない味に感動した。世の中にはこんなにも美味しいものがあるのか……
「な、なによ、そんなに見たってあげない…。」
「別に要らないって。ただ、見てて面白いと思っただけ。」
「か、感謝なんかしないから…。」
「喋る暇あるならとっとと食べろ。お前には後で玩具の役割を果たしてもらわなきゃいけないからな。」
食事がこんなにも幸せな時間なんだって思ったことは絶対に言わない。だって…全部計算されているみたいでなんか悔しいもん。
お風呂から出たら咲月さんが如月さんの部屋まで案内してくれた。内心逃げたかったけどお風呂に入れてもらったんだし挨拶くらいはしなきゃいけないと思ったから。
「お風呂、ありがとう……。でも、勘違いしないで。感謝なんかしないから。」
「お前は馬鹿だな。感謝しないくせに最初に礼を言っているじゃないか。」
「何よ!やっぱり言うんじゃなかった。」
「お前は感情に素直なやつだな。なんで人間オークションになんか参加した?」
「別に。ただ…1週間食事と寝床がもらえるならって思っただけ。」
「食事と寝床って、お前玩具って言うより犬だな。親に売られたのか…?」
「親なんて…ずっといないよ。私が10歳のときに病気で死んじゃったもん。」
私の言葉に如月さんは言葉を詰まらせた。この人も、私のことを可哀そうだと思うんだろうか。
「お前、今14だろ。4年も1人で辛くなかったのか?」
「辛いって何が…?私にとっては当たり前のことで普通のことだもん。家なんてない。お金もない。親もいない。それが普通。」
「……そうか…すまなかったな。」
「それって同情…?そんなのいらないよ。」
「そうかもな……。食事の時間だ。」
「私に命令しないでよ!」
如月さんが謝ってくれた時、どんな顔をしていたのかはよく見えなかったけど、声に優しさと温かさを感じた気がした。同情なんて要らないってずっと思ってたけど、なんだろう……この胸にある温もりは。
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「これ、何?」
「何って食事だ。ナイフとフォークを使うのは当たり前だろ。」
食事をとりに来たのはいいけど豪華すぎる料理に使い方が分からない銀色の尖ったものと4本に枝分かれしてるもの。これがナイフとフォーク……?
「使うのは初めてか…?」
「うん……。」
「分からないなら別に使わなくていい。どうせここには僕しかいない。手掴みでも構わない。」
そうは言われても咲月さんの視線が鋭くて怖い。それに、これからはこれが当たり前になるなら覚えなきゃいけないよね。
「いい。頑張って使う。」
尖っているほうで料理を切っていく。ギコギコと食器と擦れる音が響く。メイドさん(?)と言われる人たちにクスクスと笑われている気がする。それでも、私は切るのをやめない。
「命(みこと)、今お前が使っているのはナイフだ。もう1本がフォーク。左手でフォークを持って料理を押さえながら右手でナイフを使って切れ。」
如月さんに言われた通りにやってみるとさっきまで全然できなかったのに簡単に料理を切ることができた。フォークに刺し口元へ運ぶ。
今までに食べたことのない味に感動した。世の中にはこんなにも美味しいものがあるのか……
「な、なによ、そんなに見たってあげない…。」
「別に要らないって。ただ、見てて面白いと思っただけ。」
「か、感謝なんかしないから…。」
「喋る暇あるならとっとと食べろ。お前には後で玩具の役割を果たしてもらわなきゃいけないからな。」
食事がこんなにも幸せな時間なんだって思ったことは絶対に言わない。だって…全部計算されているみたいでなんか悔しいもん。