人間オークション ~100億の絆~
Episode13
あれから神無月の病院へと命(みこと)は運ばれた。理人さんはどうにか急所は外れていたようで手術後無事に目を覚ました。だけど、命はまだ手術が終わらない。
「医者が言うには、弾丸が命(みこと)の心臓で止まったらしい。幸い貫通したわけではないから出血死は免れたけど、元々の生活からの栄養不足などの影響により身体の機能が悪いらしいんだ。だから今は命(みこと)を信じて待つことしかできない。」
「命(みこと)が死んでしまったら……私はどうすればいいの……?お母様に人生を振り回されるだなんて、命(みこと)に申し訳がない……。」
病院へと向かう途中で麗亜もパニックを起こし始めた。自分の身内のせいで命(みこと)の人生全てを変えてしまったと詫びていた。
「麗亜、且功と2人きりで話をしたいからちょっと席を外してくれるか?」
「分かりましたわ。私もずっとここにいても何の力にもなれない。今はお父様の所へ行ってこれからのことを話してきます。」
それだけ言い残し麗亜は去っていった。今ここにいるのは咲月と僕の2人だけ。
「且功、さっき買ってきた。少しでも水を飲め。」
「……。」
咲月が差し出すペットボトルを受け取る。でも今は何も飲む気にも食べる気にもなれない。
「命(みこと)は……死ぬのか?」
「且功、俺はこんなことで……いや、こんなことが起きても命(みこと)は死なないと思う。命(みこと)の生命力の源は何よりも命(みこと)自身の強い精神力だ。どんなことにも負けず挫けない強靭な精神力が命(みこお)を生かしていると思ってる。だから、今は命(みこと)を信じるしかない。」
「あの時、命(みこと)のためなら僕の命(いのち)なんて大したことないものだと…惜しくないものだと思っていた。好きな女のために死ねるなら僕が生きていたことに意味があると思えたから。だけど……命(みこと)は僕を庇って撃たれた。その光景を目にしたとき頭の中が一気に真っ白になったんだ。」
「今の俺から言えることは……あの時、俺が盾になればよかったという結果論だけだ。俺が盾になれば命(みこと)を傷つけることなんてしなくて済んだ。」
「咲月、これが悲しいという感情なのか。こんなにも簡単に失ってしまうものなのか。命(みこと)を失ったら、僕はこれからどう生きていけばいいか分からない。命(みこと)がいない世界なんて生きている価値なんてない。」
「且功……俺は命(みこと)が生き延びる方に全てを賭けるよ。こんなことで死ぬような奴じゃない。それは、傍でいつも見ていたお前になら分かることだろ?」
咲月がそこまで言いかけたとき手術中のランプが消えた。中から執刀した医者とタンカで運ばれた命(みこと)が出てきた。
「貴方方が彼女のご家族ですか?」
「そうです……彼女は?」
「弾は摘出しました。出血量が少なかったことが救いでした。手術前の段階では正直、成功できるとは思えませんでした。ですが、手術が進むにつれバイタルは安定していき生きる意志を感じました。こんなにも震えるような手術は初めてです。おそらく麻酔がきれればすぐに目を覚ますでしょう。彼女はこのまま個室の病棟へと運びますので今日はそちらでお休みください。」
「且功、だから言っただろ?命(みこと)はきっと意識を失ってからも懸命に生きることを諦めなかったんだ。」
命(みこと)が……生きる。神を……命(みこと)を信じたことが通じたのか。
こんな奇跡が起きるだなんて……
「医者が言うには、弾丸が命(みこと)の心臓で止まったらしい。幸い貫通したわけではないから出血死は免れたけど、元々の生活からの栄養不足などの影響により身体の機能が悪いらしいんだ。だから今は命(みこと)を信じて待つことしかできない。」
「命(みこと)が死んでしまったら……私はどうすればいいの……?お母様に人生を振り回されるだなんて、命(みこと)に申し訳がない……。」
病院へと向かう途中で麗亜もパニックを起こし始めた。自分の身内のせいで命(みこと)の人生全てを変えてしまったと詫びていた。
「麗亜、且功と2人きりで話をしたいからちょっと席を外してくれるか?」
「分かりましたわ。私もずっとここにいても何の力にもなれない。今はお父様の所へ行ってこれからのことを話してきます。」
それだけ言い残し麗亜は去っていった。今ここにいるのは咲月と僕の2人だけ。
「且功、さっき買ってきた。少しでも水を飲め。」
「……。」
咲月が差し出すペットボトルを受け取る。でも今は何も飲む気にも食べる気にもなれない。
「命(みこと)は……死ぬのか?」
「且功、俺はこんなことで……いや、こんなことが起きても命(みこと)は死なないと思う。命(みこと)の生命力の源は何よりも命(みこと)自身の強い精神力だ。どんなことにも負けず挫けない強靭な精神力が命(みこお)を生かしていると思ってる。だから、今は命(みこと)を信じるしかない。」
「あの時、命(みこと)のためなら僕の命(いのち)なんて大したことないものだと…惜しくないものだと思っていた。好きな女のために死ねるなら僕が生きていたことに意味があると思えたから。だけど……命(みこと)は僕を庇って撃たれた。その光景を目にしたとき頭の中が一気に真っ白になったんだ。」
「今の俺から言えることは……あの時、俺が盾になればよかったという結果論だけだ。俺が盾になれば命(みこと)を傷つけることなんてしなくて済んだ。」
「咲月、これが悲しいという感情なのか。こんなにも簡単に失ってしまうものなのか。命(みこと)を失ったら、僕はこれからどう生きていけばいいか分からない。命(みこと)がいない世界なんて生きている価値なんてない。」
「且功……俺は命(みこと)が生き延びる方に全てを賭けるよ。こんなことで死ぬような奴じゃない。それは、傍でいつも見ていたお前になら分かることだろ?」
咲月がそこまで言いかけたとき手術中のランプが消えた。中から執刀した医者とタンカで運ばれた命(みこと)が出てきた。
「貴方方が彼女のご家族ですか?」
「そうです……彼女は?」
「弾は摘出しました。出血量が少なかったことが救いでした。手術前の段階では正直、成功できるとは思えませんでした。ですが、手術が進むにつれバイタルは安定していき生きる意志を感じました。こんなにも震えるような手術は初めてです。おそらく麻酔がきれればすぐに目を覚ますでしょう。彼女はこのまま個室の病棟へと運びますので今日はそちらでお休みください。」
「且功、だから言っただろ?命(みこと)はきっと意識を失ってからも懸命に生きることを諦めなかったんだ。」
命(みこと)が……生きる。神を……命(みこと)を信じたことが通じたのか。
こんな奇跡が起きるだなんて……