人間オークション ~100億の絆~
―咲月side—
「ほら、命(みこと)、次は野菜だ。」
「もう、そんなことしなくても私はちゃんと自分で食べられるよ。」
「こうでもしないと好き嫌いして残すだろ。前まではちゃんと全部食べてたのに。」
「そんなことしないよ。ちゃんと食べるもん。今はお腹が空かないだけ。」
あれか5日ほど経ち命(みこと)に付きっきりの俺。命(みこと)の前では且功のことには一切触れずただただ談笑する日々。毎日来ていた且功からの連絡も少なくなり1日のほとんどが命(みこと)との時間になっている。
「ねえ、咲月さん。明日は麗亜さんの日?」
「そうだな。楽しみか?」
「うん!でも咲月さんも麗亜さんも私のことなんてかまわないで、もっと自分がしたいことしてくれていいんだけど……。」
「命(みこと)の面倒を見るのが今の俺の仕事で麗亜は手伝ってくれてるんだ。俺たちがやりたくてやってる。」
「でもそれじゃあ、恋愛もできないよ?」
命(みこと)の口から衝撃的な言葉が発せられた。まあ、その言葉を教えた犯人は間違いなくあの女だと思うが……
「麗亜とは一体何を話してるんだ?」
「レディの嗜み、言葉遣いや勉強……あと最近は小説っていうのを読ませてくれるよ!それが恋愛小説だから恋愛について教えてもらった!」
あの女は一体何を教えているんだ……というか恋愛小説とか読むのか。下手なことして且功の名前とか出さないといいけど……
「麗亜さんってすごいんだよ!婚約者がいたんだって!婚約者って小説の中にも出てくるんだけど、子どものころから決まってる結婚する相手のことなんだよ!」
「お前はそういう相手が欲しいのか?」
「うーん……どうだろう。恋愛ってよく分からないけど、本を読んでるとね、楽しそうだなって思う。恋愛をするといつも相手のことばかり考えちゃうんだって。それに2人だけでおでかけしたり、一緒にいるだけで幸せになったりするんだよ。」
「まあ、お前にはまだ10年早いな。」
「麗亜さんの婚約者ってどんな人なのかな?きっと麗亜さんが選ぶくらいだからカッコよくて頭が良くて素敵な人だよね!」
この言葉、且功が聞いたらどう思うんだろうな。2人のためにも本当のことは言えないし命(みこと)の体調に影響が出るのも困る。
「咲月さんはどんな人が好きなの?」
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「麗亜さんが知りたいって言ってた!」
あの女……命(みこと)をつかって何を知ろうとしているんだ。まさか俺の気持ちを知っているのか…?
「俺にはあいにくそういう相手はいないよ。それに今はどこかの誰かさんの世話で忙しいから恋愛する気もないし。」
「私のせいで咲月さんが恋愛できないなら私のことは放っておいていいよ?」
「俺がいるのは嫌なのか?」
「そうじゃないけど、麗亜さんも咲月さんも私のせいで自分の時間が無くなってるの見てて分かるもん。迷惑かけてまで面倒見てもらうなんて悪いし……。」
「麗亜も俺もお前のことを心配してる。だから放っていいなんて言うな。」
「且功さん……。」
突然命(みこと)が頭をおさえながら且功の名前を呼んだ。
「だから無理して思い出さなくていいって……」
「分からないの。咲月さんが帰った後にね且功さんってどんな人なんだろうって考えることがあるの。だって名前とか記憶を思い出そうとすると頭が痛くなったり苦しくなったりするの。それってさ、最初は私が嫌っている人だから体が拒否してるんだと思った。でも、ずっと忘れられない名前なの。私の心の奥深くに眠っていてずっと覚えてる名前なの。」
「且功は……お前の――」
「咲月、命(みこと)、その話はおしまいよ。」
且功のことを伝えようとしたとき後ろからそれを遮る声が聞こえた。振り返るとニコニコと怖いくらい作り笑顔をしている麗亜が立っていた。
「麗亜さん、今日来てくれたですか?」
「そうよ、命(みこと)に本の続きを渡したかったから。」
「麗亜さんが貸してくれる本は全部面白くてすぐ読み終わっちゃうです!恋愛って面白いね。」
「そうね……人に恋するというのはとても楽しいことよ。そして、切ないこと。命(みこと)、少し咲月と話をしてきていいかしら?」
「はい!本読んで待ってるです。
「ほら、命(みこと)、次は野菜だ。」
「もう、そんなことしなくても私はちゃんと自分で食べられるよ。」
「こうでもしないと好き嫌いして残すだろ。前まではちゃんと全部食べてたのに。」
「そんなことしないよ。ちゃんと食べるもん。今はお腹が空かないだけ。」
あれか5日ほど経ち命(みこと)に付きっきりの俺。命(みこと)の前では且功のことには一切触れずただただ談笑する日々。毎日来ていた且功からの連絡も少なくなり1日のほとんどが命(みこと)との時間になっている。
「ねえ、咲月さん。明日は麗亜さんの日?」
「そうだな。楽しみか?」
「うん!でも咲月さんも麗亜さんも私のことなんてかまわないで、もっと自分がしたいことしてくれていいんだけど……。」
「命(みこと)の面倒を見るのが今の俺の仕事で麗亜は手伝ってくれてるんだ。俺たちがやりたくてやってる。」
「でもそれじゃあ、恋愛もできないよ?」
命(みこと)の口から衝撃的な言葉が発せられた。まあ、その言葉を教えた犯人は間違いなくあの女だと思うが……
「麗亜とは一体何を話してるんだ?」
「レディの嗜み、言葉遣いや勉強……あと最近は小説っていうのを読ませてくれるよ!それが恋愛小説だから恋愛について教えてもらった!」
あの女は一体何を教えているんだ……というか恋愛小説とか読むのか。下手なことして且功の名前とか出さないといいけど……
「麗亜さんってすごいんだよ!婚約者がいたんだって!婚約者って小説の中にも出てくるんだけど、子どものころから決まってる結婚する相手のことなんだよ!」
「お前はそういう相手が欲しいのか?」
「うーん……どうだろう。恋愛ってよく分からないけど、本を読んでるとね、楽しそうだなって思う。恋愛をするといつも相手のことばかり考えちゃうんだって。それに2人だけでおでかけしたり、一緒にいるだけで幸せになったりするんだよ。」
「まあ、お前にはまだ10年早いな。」
「麗亜さんの婚約者ってどんな人なのかな?きっと麗亜さんが選ぶくらいだからカッコよくて頭が良くて素敵な人だよね!」
この言葉、且功が聞いたらどう思うんだろうな。2人のためにも本当のことは言えないし命(みこと)の体調に影響が出るのも困る。
「咲月さんはどんな人が好きなの?」
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「麗亜さんが知りたいって言ってた!」
あの女……命(みこと)をつかって何を知ろうとしているんだ。まさか俺の気持ちを知っているのか…?
「俺にはあいにくそういう相手はいないよ。それに今はどこかの誰かさんの世話で忙しいから恋愛する気もないし。」
「私のせいで咲月さんが恋愛できないなら私のことは放っておいていいよ?」
「俺がいるのは嫌なのか?」
「そうじゃないけど、麗亜さんも咲月さんも私のせいで自分の時間が無くなってるの見てて分かるもん。迷惑かけてまで面倒見てもらうなんて悪いし……。」
「麗亜も俺もお前のことを心配してる。だから放っていいなんて言うな。」
「且功さん……。」
突然命(みこと)が頭をおさえながら且功の名前を呼んだ。
「だから無理して思い出さなくていいって……」
「分からないの。咲月さんが帰った後にね且功さんってどんな人なんだろうって考えることがあるの。だって名前とか記憶を思い出そうとすると頭が痛くなったり苦しくなったりするの。それってさ、最初は私が嫌っている人だから体が拒否してるんだと思った。でも、ずっと忘れられない名前なの。私の心の奥深くに眠っていてずっと覚えてる名前なの。」
「且功は……お前の――」
「咲月、命(みこと)、その話はおしまいよ。」
且功のことを伝えようとしたとき後ろからそれを遮る声が聞こえた。振り返るとニコニコと怖いくらい作り笑顔をしている麗亜が立っていた。
「麗亜さん、今日来てくれたですか?」
「そうよ、命(みこと)に本の続きを渡したかったから。」
「麗亜さんが貸してくれる本は全部面白くてすぐ読み終わっちゃうです!恋愛って面白いね。」
「そうね……人に恋するというのはとても楽しいことよ。そして、切ないこと。命(みこと)、少し咲月と話をしてきていいかしら?」
「はい!本読んで待ってるです。