人間オークション       ~100億の絆~
―麗亜side—
電話を使っても電源が切られているというコールが鳴るだけの電話。且功さんは……どこへ行ってしまったの。

あんなにも4人で過ごしていたわずかな時間。それが嘘のように静かな空間にいる私。

あの時、且功さんがもう壊れることなどないと私は思った。止めることができたと思った。でも、何もできなかった……

今日は私が命(みこと)の世話をする日。私が命に恋愛を教えたのも、小説を読ませているのも全部記憶を取り戻すため。私にできることはそれくらいしかなかった。恋愛というものを知れば……理解できれば少しでも且功さんのことを思い出してくれると思った。

「今日の本は7巻と8巻……。」

いつまで、この状態は続くのかしら……
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