拾ったワンコは獣人でした。~イケメン獣人に求愛されて困っています。~
しかし、そんな私の気持ちが百合に伝わる筈もなく、百合のコウヤへの質問が続く。
「先輩とは、どうやって知り合ったんですか?
もしかして、同じ職場の人とか?」
「いや、俺は、ファムに拾われたんだ」
「え~やだぁ、拾っただなんて。
そんな犬や猫じゃないですからぁ」
(いや、本当に犬だったんだけどね)
1人心の中で突っ込むのも虚しくなってくる。
まさか異世界から来た獣人ですと言ったところで、きっと信じてはもらえないだろう。
(もちろん、言うつもりもないけど……)
それよりも私は、コウヤが変なことを口走らないか、そちらの方が心配だった。
「何のお仕事をされてるんですか?
あ、もしかして、学生だったりします?
まさか、本当にヒモだなんて言わないですよね~??」
冗談交じりに笑いながら、コウヤにモーションをかけまくっている百合。
何故か先程から私の方をじっと睨んでくる純也。
そして、さっきから私の肩を抱いたまま話そうとしないコウヤ……
私は、もう我慢の限界だった。
『ごめん、ちょっと用事が……』
とでも言って、この場を立ち去ろうとしたその時、私の足元に黄色いボールが転がってきた。
「すみませ~ん、ボール拾ってもらえますか~?」
(これは、チャンス!!!)
ボールを拾って返したら、そのままダッシュでここを去ろう。
そう考えた私は、コウヤの拘束から逃れると、ボールを手に取り、持ち主のところまで思い切り投げた。
力が入り過ぎていたのか、思った以上に高く跳んでしまったボールを私と百合と純也が目で追う。
その視界の下方から、見覚えのある、一匹の黒と白の毛皮を着た犬が現れ、
飛んで行ったボール目掛けて一目散に走って行く。
(え?)
まさかと思い、私がベンチを振り返ると、そこに居た筈のコウヤの姿がない。
「あれ、先輩の彼氏さんは……?」
同じくコウヤがいなくなったことに気付いた百合がきょろきょろと周囲を見回すが、もちろん、コウヤの姿が見える筈がない。
「あー……この後、レストランの予約してたんだよね。
時間に間に合わなくなっちゃいそうだったから、先に行ってもらったの」
かなり苦しい言い訳ではあるが、咄嗟に思いついたにしては、我ながら機転が利いていると思う。
すると、百合が急に慌てた様子で自分の腕時計を見ると、純也を振り返って言った。
「やだ~、私たちも、この後、映画を見る予定だったの忘れてたわ~」
「そう言えば、そうだったな」
「それじゃあ、先輩。
彼氏さんに宜しく伝えてくださいね♡」
百合は、それだけ言うと、さっさと純也の腕を取って、公園の入口へと向かった。
私は、二人の姿が見えなくなるのを確認して、大きなため息を吐く。
(一体、何だったのよぉ~もう~……)
百合は、ともかく。
何故、純也が私に対して怒っていたのかが全く分からない。
(浮気したのは、そっちじゃない。
なんで私が悪いみたいになってるのよ)
コウヤとのことも、純也に私を問い詰める権利などない。
既に私とは別れて、今は、百合と付き合っているのだから。
(考えても仕方ないわね。
とにかく今は……)
私は、コウヤを連れ戻すため、黄色いボールを追い掛けて楽しそうに遊んでいる犬の方へと足を向けた。
「先輩とは、どうやって知り合ったんですか?
もしかして、同じ職場の人とか?」
「いや、俺は、ファムに拾われたんだ」
「え~やだぁ、拾っただなんて。
そんな犬や猫じゃないですからぁ」
(いや、本当に犬だったんだけどね)
1人心の中で突っ込むのも虚しくなってくる。
まさか異世界から来た獣人ですと言ったところで、きっと信じてはもらえないだろう。
(もちろん、言うつもりもないけど……)
それよりも私は、コウヤが変なことを口走らないか、そちらの方が心配だった。
「何のお仕事をされてるんですか?
あ、もしかして、学生だったりします?
まさか、本当にヒモだなんて言わないですよね~??」
冗談交じりに笑いながら、コウヤにモーションをかけまくっている百合。
何故か先程から私の方をじっと睨んでくる純也。
そして、さっきから私の肩を抱いたまま話そうとしないコウヤ……
私は、もう我慢の限界だった。
『ごめん、ちょっと用事が……』
とでも言って、この場を立ち去ろうとしたその時、私の足元に黄色いボールが転がってきた。
「すみませ~ん、ボール拾ってもらえますか~?」
(これは、チャンス!!!)
ボールを拾って返したら、そのままダッシュでここを去ろう。
そう考えた私は、コウヤの拘束から逃れると、ボールを手に取り、持ち主のところまで思い切り投げた。
力が入り過ぎていたのか、思った以上に高く跳んでしまったボールを私と百合と純也が目で追う。
その視界の下方から、見覚えのある、一匹の黒と白の毛皮を着た犬が現れ、
飛んで行ったボール目掛けて一目散に走って行く。
(え?)
まさかと思い、私がベンチを振り返ると、そこに居た筈のコウヤの姿がない。
「あれ、先輩の彼氏さんは……?」
同じくコウヤがいなくなったことに気付いた百合がきょろきょろと周囲を見回すが、もちろん、コウヤの姿が見える筈がない。
「あー……この後、レストランの予約してたんだよね。
時間に間に合わなくなっちゃいそうだったから、先に行ってもらったの」
かなり苦しい言い訳ではあるが、咄嗟に思いついたにしては、我ながら機転が利いていると思う。
すると、百合が急に慌てた様子で自分の腕時計を見ると、純也を振り返って言った。
「やだ~、私たちも、この後、映画を見る予定だったの忘れてたわ~」
「そう言えば、そうだったな」
「それじゃあ、先輩。
彼氏さんに宜しく伝えてくださいね♡」
百合は、それだけ言うと、さっさと純也の腕を取って、公園の入口へと向かった。
私は、二人の姿が見えなくなるのを確認して、大きなため息を吐く。
(一体、何だったのよぉ~もう~……)
百合は、ともかく。
何故、純也が私に対して怒っていたのかが全く分からない。
(浮気したのは、そっちじゃない。
なんで私が悪いみたいになってるのよ)
コウヤとのことも、純也に私を問い詰める権利などない。
既に私とは別れて、今は、百合と付き合っているのだから。
(考えても仕方ないわね。
とにかく今は……)
私は、コウヤを連れ戻すため、黄色いボールを追い掛けて楽しそうに遊んでいる犬の方へと足を向けた。