拾ったワンコは獣人でした。~イケメン獣人に求愛されて困っています。~
元カレの言い分
「じゅ、純也……どうして……」
私が戸惑っていると、純也は、一瞬ほっとしたような表情を浮かべた後で、今度は怒っているような思い詰めているような複雑な顔をして言った。
「昨日は、どうして来てくれなかったんだ」
「え? あ……」
そう言えば、純也にメッセージで呼び出されていたのだった。
コウヤにほだされて、すっかり忘れていた。
「電話にも出ないし、何かあったんじゃないかって思って……」
(もしかして、私を心配して来てくれたの?)
私は、咄嗟に口を開いたものの、喉の奥に何かが詰まったように言葉が出ない。
(なんなのよ、今更……)
「西野、俺……」
純也が思い詰めた顔で何かを言いかけた時、私の背後からコウヤの声が聞こえた。
「ファム? 誰だったの?」
はっとして振り返ると、コウヤが部屋の奥から出て来るところだった。
しかも、服を着ていない。
「ちょ、ちょっと! 服着てー!」
私は、慌ててコウヤの身体が純也から見えないよう自分の身体で遮ると、恐る恐る純也を振り返った。
純也は、先程までの表情が一変し、真っ青な顔でコウヤを見ている。
(な、なんだろう……別に悪いことをしてるわけでもないのに……き、気まずい……)
「……そうか、そういうことか。
昨夜は、こいつと一緒にいたから、俺からの電話にも出なかったのか……」
半分は、当たっている。
でも、例え、コウヤがいなかったとしても、私は、きっと純也の電話には出なかっただろう。
「と、とにかく、もう用が済んだなら、早く帰ってよ」
「話をするまで、帰らない」
純也は、強い意志を込めた目で私を見ている。
「……わかった、分かったわよ。ちょっと外で待ってて!
コウヤ、ほら、部屋に戻って、ちゃんと服を着ましょうね~」
私がコウヤの背中を押すと、コウヤは不満そうに唇を尖らせた。
「なんで? ねぇ、さっきの続きは?」
「きゃー! きゃー!
お願いだから、もうそれ以上何も言わないで……」
私は、不満そうなコウヤに無理やり服を着せると、純也を連れて近所の公園へと向かった。
「二人きりで話したい」
と純也が言うので、仕方なく私は、コウヤにどこかで時間を潰してきてもらうよう頼んだ。
「嫌だ。俺は、ファムといる」
そう言って、コウヤは、私を抱きしめたまま離そうとしない。
まるで私を純也に取られまいとするかのようだ。
(何故私は、元カレと獣人に挟まれているのかしら……)
純也とコウヤが無言で睨み合う中、私は、暗い表情でため息を吐いた。
「大体、俺のファムに何の用だ。
話があるなら、俺が聞く」
「お前には関係ない話だ」
「関係ないわけない。ファムは、俺の<#運命の女神__ファムファタル__#>だ」
純也は、訳が分からないといった表情で私を見た。
こいつをどっかにやってくれ、とその目が言っている。
私も、さっさとこの場を終わりにしたかったが、とにかく、こんな状態のままでは、話が進まない。
私は、コウヤの目を見て、落ち着いた口調で言った。
「コウヤ、私なら大丈夫だから。ちょっとだけ、離れててくれる?」
お願い、と私が優しく付け足すと、コウヤは、不満そうだったが、渋々言うことを聞いてくれた。
ちらちらとこちらを振り返りながら立ち去って行くコウヤに、私は安心させるため手を振った。
二人きりになると、純也は、顔をしかめながら私に向き直り、コウヤの方を指さした。
「……お前、あんな奴が俺よりも良いって言うのか?
ちょっとくらい顔をがいいからって……あいつ、頭おかしいぞ」
(あんたに言われたくないわよ!!)
私は、心の中だけで盛大に突っ込みを入れた。
私が戸惑っていると、純也は、一瞬ほっとしたような表情を浮かべた後で、今度は怒っているような思い詰めているような複雑な顔をして言った。
「昨日は、どうして来てくれなかったんだ」
「え? あ……」
そう言えば、純也にメッセージで呼び出されていたのだった。
コウヤにほだされて、すっかり忘れていた。
「電話にも出ないし、何かあったんじゃないかって思って……」
(もしかして、私を心配して来てくれたの?)
私は、咄嗟に口を開いたものの、喉の奥に何かが詰まったように言葉が出ない。
(なんなのよ、今更……)
「西野、俺……」
純也が思い詰めた顔で何かを言いかけた時、私の背後からコウヤの声が聞こえた。
「ファム? 誰だったの?」
はっとして振り返ると、コウヤが部屋の奥から出て来るところだった。
しかも、服を着ていない。
「ちょ、ちょっと! 服着てー!」
私は、慌ててコウヤの身体が純也から見えないよう自分の身体で遮ると、恐る恐る純也を振り返った。
純也は、先程までの表情が一変し、真っ青な顔でコウヤを見ている。
(な、なんだろう……別に悪いことをしてるわけでもないのに……き、気まずい……)
「……そうか、そういうことか。
昨夜は、こいつと一緒にいたから、俺からの電話にも出なかったのか……」
半分は、当たっている。
でも、例え、コウヤがいなかったとしても、私は、きっと純也の電話には出なかっただろう。
「と、とにかく、もう用が済んだなら、早く帰ってよ」
「話をするまで、帰らない」
純也は、強い意志を込めた目で私を見ている。
「……わかった、分かったわよ。ちょっと外で待ってて!
コウヤ、ほら、部屋に戻って、ちゃんと服を着ましょうね~」
私がコウヤの背中を押すと、コウヤは不満そうに唇を尖らせた。
「なんで? ねぇ、さっきの続きは?」
「きゃー! きゃー!
お願いだから、もうそれ以上何も言わないで……」
私は、不満そうなコウヤに無理やり服を着せると、純也を連れて近所の公園へと向かった。
「二人きりで話したい」
と純也が言うので、仕方なく私は、コウヤにどこかで時間を潰してきてもらうよう頼んだ。
「嫌だ。俺は、ファムといる」
そう言って、コウヤは、私を抱きしめたまま離そうとしない。
まるで私を純也に取られまいとするかのようだ。
(何故私は、元カレと獣人に挟まれているのかしら……)
純也とコウヤが無言で睨み合う中、私は、暗い表情でため息を吐いた。
「大体、俺のファムに何の用だ。
話があるなら、俺が聞く」
「お前には関係ない話だ」
「関係ないわけない。ファムは、俺の<#運命の女神__ファムファタル__#>だ」
純也は、訳が分からないといった表情で私を見た。
こいつをどっかにやってくれ、とその目が言っている。
私も、さっさとこの場を終わりにしたかったが、とにかく、こんな状態のままでは、話が進まない。
私は、コウヤの目を見て、落ち着いた口調で言った。
「コウヤ、私なら大丈夫だから。ちょっとだけ、離れててくれる?」
お願い、と私が優しく付け足すと、コウヤは、不満そうだったが、渋々言うことを聞いてくれた。
ちらちらとこちらを振り返りながら立ち去って行くコウヤに、私は安心させるため手を振った。
二人きりになると、純也は、顔をしかめながら私に向き直り、コウヤの方を指さした。
「……お前、あんな奴が俺よりも良いって言うのか?
ちょっとくらい顔をがいいからって……あいつ、頭おかしいぞ」
(あんたに言われたくないわよ!!)
私は、心の中だけで盛大に突っ込みを入れた。